子どもを性犯罪から守るためにすべきこととは? 未就学児から性教育をしたほうがいい理由【監修者インタビュー】

※この記事はセンシティブな内容を含みます。ご了承の上、お読みください。 ある日突然、学校に行けなくなった小学3年生の勇。理由がわからず数ヶ月経った頃、おぞましい事件に巻き込まれていたことが判明し――。 漫画『性被害のせいで、息子が不登校になりました』(あらいぴろよ:著、斉藤章佳:監修、飛田桂:取材協力/KADOKAWA)は、息子の性被害を知った家族が、周りの支援を受けながら事件と向き合おうとする。けれども、自分を責める勇の具合はますます悪くなり、明るかった家族は崩壊に向かい……。 監修を務めたのは、精神保健福祉士/社会福祉士であり、西川口榎本クリニックの副院長を務める斉藤章佳氏。最近増加するSNSを通じた性犯罪の手口や、性加害者の認知の歪み、性被害を避けるためにできることなどをうかがった。 ――勇が性被害を受けた相手は、勇が怖がって震えていたのを喜んでいると勘違いして行為に及んだ…と発言し、認知の歪みが指摘されていました。さらに、加害者もまた、子どもの頃に性被害を受けたことが発覚します。繰り返される性加害の連鎖にゾッとしました。 斉藤章佳さん(以下、斉藤):子どもの性加害者には2通りのタイプがいます。一つは小児性愛症という診断がついた人たちでしたが、もう一つは、診断はつかないけれども、単に子どもが小さくて弱い存在だから、支配しやすいと考え性加害に至った人たちです。 ――勇の場合は、両親や周囲の人から適切なケアを受けていましたが、もしケアを受けなかったら、犯人の久野が性被害から加害に至ったように、勇もそういった負の連鎖に巻き込まれていた可能性もあったということですよね。また、一般論として、男の子がいる家庭だと、わが子が加害者にならないように心配する保護者も多いと思います。 斉藤:わが子がどうしたら性加害者にならないのか…。講演会でも、男の子がいる保護者から挙がる質問の第1位です。ちなみに、当院を受診した10代の性加害少年(調査人数:286人)に関する調査によると、彼らがアダルトコンテンツを含む性的な情報にはじめて触れたときの平均年齢は6.4歳。最初に性的な逸脱行動をした年齢の平均は9.6歳でした。 ――そんなに早くから…。 斉藤:以前、幼稚園で年長の男児が、同じ年齢の女児に性加害をした、という相談がありました。おそらく彼も性的同意や身体の権利に関する教育を受けたことがなくて、境界線のことや、やっていいことと悪いことの知識や想像力が不足していたのだと思います。今は家庭で学べる性教育の本もたくさんありますから、小さな頃から、人権教育を基盤とした包括的な性教育を受けることが重要だと思います。 取材・文=吉田あき 斉藤章佳: 1979年生まれ。大学卒業後、国内最大規模といわれる依存症施設「榎本クリニック」にソーシャルワーカーとして勤務。現在、西川口榎本クリニックの副院長。25年にわたり、アルコール依存症、ギャンブル、薬物、摂食障害、性犯罪、児童虐待、DV、クレプトマニアなどさまざまなアディクション(依存症)問題に携わる。専門は加害者臨床で、3500人以上の性犯罪者の再犯防止プログラムに携わる。著書に『「小児性愛」という病-それは、愛ではない』(ブックマン社)、『子どもへの性加害-性的グルーミングとは何か』(幻冬舎新書)、『夫が痴漢で逮捕されました-性犯罪と「加害者家族」』(朝日新書)、最新刊に『10代のための「性と加害」を学ぶ本: 暴力の「入口」「根っこ」「しくみ」を知る包括的性教育マンガ』(時事通信出版局)などがある。

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