「1994年に平壌で特定失踪者の木村さん(八戸出身)に似た人を見た」/元北朝鮮外交官証言

北朝鮮に拉致された可能性が濃厚とされている特定失踪者の木村かほるさん=失踪当時(21)=について、元北朝鮮外交官が「1994年に平壌の商店で木村さんに似た人を見た」との情報を、特定失踪者問題調査会(東京)の荒木和博代表へ寄せていたことが5日、荒木代表への取材で分かった。木村さんの姉・天内みどりさん(92)=青森県八戸市在住=は東奥日報の取材に「30年近く前の目撃情報でも、情報はないよりあった方がうれしい」と語る。調査会は特定失踪者に関する情報の掘り起こしに力を入れ、「政府を動かして特定失踪者の救出につなげたい」としている。 元外交官は、キューバの北朝鮮大使館参事などを務め、2023年に韓国へ亡命した李日奎(リ・イルギュ)氏。李氏が昨年日本の出版社から発刊した著書によると、1993年ごろに朝鮮労働党工作員の日本人女性とキューバで知り合い、95年ごろに平壌の富裕層向け外貨商店で再会。同店では他に日本人女性が2人働いており、一人を「巻き毛で身長160センチほど、太った体形」で、もう一人を「顔や身長などは覚えていない」と回想した。 荒木代表は李氏と直接会ったことはなく、情報のやりとりはメールのみで行った。昨年11月初め、著書の内容を確認するため李氏にメールを送り、木村さんら特定失踪者複数人の写真を添えて外貨商店で働いていた女性について質問。すぐに返信があり、木村さんの写真を指して「知っている人」「94年まで平壌にいた」との情報を寄せた。 その後連絡が途絶えたため、2月上旬、荒木代表が再び李氏にメールを送ると、約10日後に「94年に平壌の店でこの人(木村さんに似た人)を見かけた」と返信があり、知り合いの女性工作員と木村さんに似た人、他にもう一人が店で一緒に働いていた-と説明したという。 木村さんに関しては、大韓航空機爆破事件で逮捕された金賢姫・元工作員が「日本語の先生に似ている」と証言するなど、北朝鮮での複数の目撃情報が調査会に寄せられている。荒木代表は李氏の情報を受け「木村さんは拉致された可能性が高い」との認識を改めて示した。調査会と特定失踪者家族会(今井英輝代表=弘前市在住)は3月30日、政府の拉致問題担当大臣を兼ねる木原稔官房長官宛てに、木村さんを拉致被害者として認定することなどを求める要請書を提出した。 昨年2月には、国連人権理事会の北朝鮮に関する人権問題担当者らが、北朝鮮に送った書簡で所在情報確認を求めた特定失踪者や拉致被害者約40人のリストに、木村さんが含まれていたことも判明した。 木村さんは1938年生まれ。5歳下の妹について天内さんは「会いたいけれど自分も高齢で、歩くのが大変になってきた。かほるが北朝鮮で生きているのならそれでいい」と思いを語った。

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