メール、ドライブ、カレンダー……。「デジタル資産」とも言える個人の全情報をGoogleに預ける人も多い。だが近年、AIによる誤判定も含めたアカウント凍結が増加しているという。しかも、一度凍結されれば復活は難しいのが現状だ。AIによる誤判定の脅威にあらがうための自衛策を専門家に聞いた。 * * * 【生活を支配する巨大な〝Googleの手のひら〟】 スマホが生活必需品となった現代、米Googleの提供するサービスと無縁で過ごすことは極めて困難だ。無料メールの代名詞である「Gmail」を筆頭に、経路検索に不可欠な「マップ」、写真データを預けるための「フォト」、業務資料の保管先にもなる「ドライブ」、そして日常の娯楽である「YouTube」。 これら生活のあらゆる局面を支えるインフラは、すべて単一の「Googleアカウント」によって統合され、その背後ではAIが利用者の行動を克明に記録し続けている。 ITジャーナリストの三上 洋氏は、この構造的な依存状態に警鐘を鳴らす。 「利用者は各サービスを個別のものとしてとらえがちですが、実態は同じアカウントにひもづき、情報も集約されています。そしてGoogleは、各サービスの検索履歴や閲覧内容、さらには端末の操作ログを通じて、利用者が『いつ、どこで、何に興味を持ったか』を常時監視しているのです。 収集された膨大なデータは広告の最適化に利用され、絶え間なくクリックを促す。位置情報や利用シーンまで把握されている以上、現代人は〝Googleの手のひら〟で踊らされている状態にあると言えます」 各サービスの利便性を、多くの利用者は基本的に無料で享受している。しかし、これらの機能が突如として利用不能に陥るリスクが存在する。 「怖いのはそこなのです。Googleの〝憲法〟ともいうべき『利用規約』には、規約やポリシーに著しく違反した場合、サービスへのアクセスを停止(アカウント凍結)・アカウントを削除する権限を有すると明記されています。 ハッキング行為やコンピューターウイルス作成、児童ポルノの保存や共有などが違反行為の代表例ですが、これらを行ないGoogleアカウントの凍結や削除=〝垢BAN〟されれば、サービスが利用不能となります。 仕事でGmailやドライブを使っていれば死活問題ですし、他サービスの多要素認証にGmailを設定している場合、ネット上の活動自体が困難になります」 規約違反による停止であれば自業自得だが、実際にはシステムの誤判定によってこの措置が下される事例も報告されている。三上氏が続ける。 「規約違反かどうかの判定はAIが行ないます。この段階で人間の判断が入る余地はありません。異議申し立ても可能ですが、人的リソースの限界もあり、回復の可能性はかなり低いと考えられます」