厚いベールには何が包まれているのだろうか。プロ野球広島東洋カープは一刻も早く、「ゾンビたばこ」に関する全選手を対象とした聞き取り調査の結果を公表し、カープファンを中心とする野球ファンが抱く不信感、不安を完全に払拭しなければならない。 ■起訴内容認める 「ゾンビたばこ」などと呼ばれる指定薬物のエトミデートを使用したとして、医薬品医療機器法違反の罪に問われたプロ野球広島の元選手、羽月隆太郎被告(26)の初公判が15日、広島地裁で開かれ、被告は起訴内容を認めた。即日結審し、井上寛基裁判官は拘禁刑1年、執行猶予3年(求刑拘禁刑1年)を言い渡した。 羽月被告は昨年12月16日ごろ、広島市内の自宅で医療以外の用途でエトミデートを使用したとして逮捕された。今年2月に起訴されたことを受け、球団は被告との契約を解除した。 検察側は初公判の冒頭陳述で、羽月被告が知人の勧めで昨年春ごろからエトミデートを使用し始めたと指摘。違法と知った後も「よく眠れる」として使用を継続したというが、公判で飛び出した衝撃的な発言に球界は大きく揺れた。 「周囲にも同じように吸っているカープの選手がおり、大丈夫だと思った」。チーム内に自分以外にもゾンビたばこを使用している選手がいたことを明らかにしたのだ。 初公判当日、甲子園球場での阪神戦に帯同していた広島の鈴木清明球団本部長は「全選手を対象に再調査します」と話したが、苦渋の色が隠せなかった。 一部情報によると、羽月被告は逮捕後の取り調べに対し、カープ選手の使用について供述し、広島県警は複数の選手に任意で尿検査を実施したという。いずれも陽性反応は出ず、使用は裏付けられなかったようだ。しかし、裁判所での証言は重く、カープファンの間では現在ファーム落ちしている選手や1軍の主力選手の名前が取り沙汰されている。 ■苦境に追い打ち チームは21日時点で16勝23敗2分け。借金7を抱え、リーグ5位に低迷している。球団の財政的な事情からか、昨オフも大きな補強はしなかった。今季で就任4年目を迎えた新井貴浩監督(49)は、ドラフト1位の平川蓮外野手(22)=仙台大=や3位の勝田成内野手(22)=近大=らルーキーを育てながら戦う苦しいベンチワークが続いている。もし、主力選手が「ゾンビたばこ」に手を染めていたのであれば厳罰は必至。チームの戦力はさらに弱体化する。こうした背景もあり、鈴木本部長が報道陣に語った「再調査」の結果が注目を集めている。 有罪判決が言い渡されてから、きょう22日で1週間。球界の舞台裏ではさまざまな情報が錯綜(さくそう)している。球界とも広島とも縁が切れた羽月被告の口から今後、どんな発言が飛び出すのかも焦点となる。自分だけが罪を背負って球界から追放されたと思い込んでいるとすれば、SNSなどで何らかの発信をする可能性もあるだろう。誰よりも事実関係を知る羽月被告の新たな告発があれば、広島は窮地に追い込まれる可能性もある。事態は予断を許さない。