イスラエル軍に拘束された韓国人活動家2人が釈放され帰国した。李在明(イ・ジェミョン)大統領が「度が過ぎたにしてもあまりに行き過ぎだ」としてイスラエルのネタニヤフ首相に対する「逮捕状」を論じた直後だった。状況は一段落したが、ネタニヤフ首相が訪韓すれば逮捕できるのかへの関心は続いている。 ◇国内法には「ICC要請時に協力」 李大統領は20日の閣議中にイスラエル軍が拿捕した救護船に韓国人活動家が乗っているとの報告を受けると、「とても非人道的でひどい」として激憤した。その上で「いま国際刑事裁判所(ICC)でネタニヤフ首相が戦争犯罪者と認められ逮捕状が発給されているだろう。欧州のほとんどの国は逮捕状を発給し自国に入国すればネタニヤフを逮捕すると発表したがわれわれも判断してみよう」と話した。 李大統領が言及したICCは、戦争犯罪、大量虐殺、侵略犯罪に対応するため2002年に設立された常設裁判所だ。現在当事国は125カ国で、韓国も2003年に加盟した。加盟当事国は拘束力のため戦犯などを捜査・処罰するという国内ICC履行法を追加で制定しなければならない。 履行法にはICCが犯罪人引き渡しを要請すれば協力するという根拠が含まれなければならない。韓国も2011年に作った「国際刑事裁判所管轄犯罪処罰法」にICCの要請時には犯罪人引渡法」に準じて協力するという規定を明文化した。必ず従ったり応じたりするのではなく、「協力」することにしており韓国政府に裁量の余地がある。 ◇法理上は緊急逮捕も可能 ICCは2024年11月にネタニヤフ首相に対する逮捕状を発行した。同年5月のパレスチナのガザ地区空爆と地上軍投入により民間人死傷者が大量発生したことに伴った戦争犯罪、人道に反する罪を犯したという容疑だった。イスラエルはICC当事国でない点を上げ管轄権がないと主張したが、ICCはパレスチナが当事国であるため管轄権行使は可能だと判断した。 理論的にはネタニヤフ首相が訪韓すればICC履行法に基づき国内刑事司法手続きにより捜査できる。戦争犯罪、集団殺害などを犯したとすれば外国人も「韓国領域内」に入った際に国内捜査機関の管轄対象になるためだ。純粋に法理的次元ではネタニヤフ首相を空港で緊急逮捕することもできる。 その後ICCが犯罪人引き渡しを要請すればソウル高検がソウル高裁に「犯罪人引き渡し許可審査」を請求することになる。この過程で高検が独自で判断するが容疑がまともに証明されなかったり、犯罪人を引き渡さないことが妥当であるならば請求自体をしないこともありえる。請求が妥当ならば高裁が引き渡し拘束令状を発行して犯罪人を刑務所または拘置所に拘禁しICCに引き渡す。 ただ国際法に精通した法曹界関係者は「ネタニヤフ首相を捜査しなくてもICCは制裁する手段がない。捜査の有無は実質的には外交的選択事項に当たる」と説明した。 ◇プーチン大統領、ICCの逮捕状発給されても海外歴訪 ICCの逮捕状は国際社会で大きな実効性があるものではない。ウクライナを侵攻したロシアのプーチン統領に対しても逮捕状が発給されたが、プーチン大統領は2024年にICC加盟国であるモンゴルを熱烈な歓待の中で堂々と訪問した。 ネタニヤフ首相に対するICCの逮捕状をめぐっても国ごとに反応が分かれた。欧州連合(EU)は「ICCの決定はすべてのEU加盟国に拘束力がある」として参加を呼びかけた。フランスとイタリア、オランダ、スイス、オーストリアなどは参加の意思を明らかにした。 不参加を宣言した国もある。イスラエルの友好国である米国と英国はすぐにICCの決定には従わないとのコメントを出した。ハンガリーは強硬右派性向のオルバン首相が在職した昨年4月にネタニヤフ首相訪問に合わせICCからの脱退を宣言した。だがオルバン首相は先月の総選挙で惨敗し新たに就任したペテル首相がICC脱退を翻意した。