2011年に経営破綻した「安愚楽(あぐら)牧場」(栃木県)の消費者被害が拡大したのは、国が規制権限を行使しなかったためだとして、出資者約1300人が国に総額約64億円の損害賠償を求めた訴訟の判決で、東京地裁は26日、請求を棄却した。小川嘉基裁判長は「国の対応が著しく合理性を欠くとまでは言えない」と判断した。出資者側は控訴する方針。 安愚楽牧場は黒毛和牛の繁殖牛のオーナーを募り、生まれた子牛の売却益から配当を得られるとうたった「和牛オーナー制度」を展開。約7万3000人が出資し負債総額は約4200億円に上り、「預託商法」と呼ばれる消費者事件の被害規模として過去最大とされる。国の賠償責任に対する初の司法判断だった。 判決は、農林水産省の09年の立ち入り検査時点で、繁殖牛が不足している疑いは生じていたものの、牧場側のデータ改ざんなどにより頭数不足の把握は容易ではなかったなどと言及。業務停止命令などを出さなかった国の対応に違法性はないと結論付けた。 判決後に記者会見した原告側代理人の中川素充弁護士は「国は違法行為を認識できたのに、被害救済を認めなかったのは遺憾だ」と述べた。 安愚楽牧場を巡っては、元社長ら幹部2人が特定商品預託法違反(不実の告知)容疑で逮捕され、実刑判決が確定している。【安達恒太郎】