2019年に少女らへの性的虐待罪で起訴された後、勾留中に死亡した米国の富豪エプスタイン氏を巡り波紋が広がる「エプスタイン問題」。そもそもどういった問題で、どのような影響が出ているのか。 もともと数学教師だったエプスタイン氏は、投資銀行のトレーダーに転身した後、国内外の要人との人脈を広げていった。米ニューヨーク州やフロリダ州に大豪邸を構えたほか、カリブ海にあるバージン諸島に島を所有し、著名人や若い女性を招いてパーティーを楽しむことで知られていた。 エプスタイン氏はこうした場で、未成年の少女らに現金を払って性的関係を持ったとされ、08年には多数の少女への性犯罪で起訴された(司法取引で重い罪の容疑は不問に)。 その後19年7月に再び逮捕、起訴された。起訴状によると、02~05年に未成年の少女ら数十人に現金を払って性的関係を持ったほか、一部の少女には別の少女を紹介させていたとされる。エプスタイン氏はこの年、勾留施設内で死亡した。 当局は自殺と判断したが、共和党支持層が多い右派の間では、要人との深いつながりがあったエプスタイン氏は「有力者に口封じのために殺害された」との陰謀論が広がっていった。 これを受け、トランプ米政権は対応を迫られた。米報道によると、トランプ氏自身も、「不動産王」として知られていた1990年代にエプスタイン氏と親交を深めたとされる。トランプ氏は事件発覚当初、この問題から距離を置いていたが、世論に押される形で米司法省が昨年12月~今年1月、関連文書である「エプスタイン文書」を公開した。 ◇陰謀論広がる背景に政財界要人との関わり 波紋が広がる背景には、この文書によって、国内外の政財界要人とエプスタイン氏との関わりが改めて浮かび上がったことがある。 文書に名前があったのは、チャールズ英国王の弟のアンドルー元王子、その元妻セーラ・ファーガソン氏、ビル・クリントン元米大統領、米マイクロソフト創業者のビル・ゲイツ氏、米実業家のイーロン・マスク氏、トランプ氏の元側近、スティーブ・バノン氏など。日本人では、千葉工業大学の伊藤穣一学長とエプスタイン氏のメールのやりとりが文書の中にあった。 米議会では、下院監視・政府改革委員会がこの問題を追及していて、召喚に応じて証言したクリントン氏はX(ツイッター)に投稿した声明で「何も見ていない。間違ったことはしていない」と訴えた。6月10日には、ゲイツ氏が下院監視・政府改革委員会で非公開の証言に応じた。 欧州でも、名前が挙がった人物の犯罪や不正行為への関与に関する報道があり、エプスタイン問題の影響はまだ続きそうだ。【石山絵歩】