有村架純×黒木華×南沙良が挑んだ“予測不能”な金塊密輸――「崖っぷち」の乗り越え方は?【「マジカル・シークレット・ツアー」インタビュー】

年齢も境遇も異なる3人の女性が企てる予測不能な犯罪劇を描いた映画「マジカル・シークレット・ツアー」(6月19日公開)。本作で共演を果たしたのは、有村架純、黒木華、南沙良。シンガポールでの過酷ながらも充実した撮影の裏側や、お互いの印象、そして劇中のキャラクター同様に「崖っぷち」に立たされた時のそれぞれの対処法などを語り合った。(取材・文/磯部正和、撮影/間庭裕基) 【「マジカル・シークレット・ツアー」概要・あらすじ】 「ミセス・ノイズィ」の天野千尋監督が、2017年に中部国際空港で主婦たちが金の密輸で逮捕されたという実在の事件に着想を得て、「佐藤さんと佐藤さん」でも組んだ熊谷まどかと共同でオリジナル脚本を執筆。シンガポールで大規模なロケを敢行し、きらびやかで危うい金密輸の旅路を描き出す。 2児の母として平穏な日常を送っていた和歌子(有村)は、夫が横領により会社を解雇されたことを知る。夫の借金を返済するため、シンガポールで金の密輸に加担することになった彼女は、奨学金の返済に追われる非正規雇用の研究員・清恵(黒木)と、貯金ゼロの未婚の妊婦・麻由(南)と出会う。密輸を成功させ味をしめた3人は、自分たちで密輸を始めることにする。お金と自由、そして自分らしく生きる喜びを初めて手に入れ、魔法のような時間を過ごす3人だったが……。 ●女性3人の物語への共感。それぞれの「弱さの隠し方」 ――最初に、脚本を読んだときの印象と、それぞれの演じる役についてどう思ったか教えてください。実際に演じてみて、最初の印象から変わった部分はありましたか? 有村架純(以下、有村):最初、脚本を読んだときに女性3人の物語というところにすごく惹かれました。自分自身そういった作品に携わったことがなかったので、シスターフッド感のある作品を作ることができたら面白いものになるかなと思って参加を決めました。 私が演じる和歌子は、周りに自信をくれるような人がいなくて、自分で自分を常に納得させて生きてきた女性です。ひょんなことから闇バイトに足を突っ込んでしまったけれど、そこで出会った清ちゃんと麻由ちゃんのおかげで、ちょっと自分のことも好きになれたという役どころです。実際に演じてみて、心の奥底にある悲壮感のようなものは、思っていたよりは出さなくていい、そこまでシビアなトーンではないなと思いました。 黒木華(以下、黒木):実際に起きた事件をもとに、天野監督がオリジナルストーリーを書かれたというのが面白いなと思いました。今まで関わることのなかった女性たちがひとつの罪を共有し、殻を破っていく冒険譚のような感じも面白そうだなと。実際に演じてみると、清恵は台本を読んでいたときよりもハイテンションだなと感じました。現場でも監督から「テンションを上げて」と何度も言われましたね。 南沙良(以下、南):最初読ませていただいたときに、すごく疾走感のある物語だなと思ったのですが、実際に出来上がったものを見て、そこに天野さんらしいシュールな感じがありました。環境はそれぞれ明るいものではないけれど、あまり悲壮感がなくてクスッと笑えるものになっていたなという印象です。演じるにあたって、最初の印象から変わることはあまりなかったです。クランクイン前に天野監督からお手紙のようなものをいただいて、それが麻由を作る上での一つの素材になりました。 ――お手紙というのはどんなものだったのですか? 有村:役の自己紹介が2、3枚書かれた履歴書のようなもので、「私は小川和歌子です。主婦です」みたいな感じのことが書いてありましたね。 ――ご自分のキャラクター以外で、「こういうところすごくいいな」と共感したポイントがあればお聞きしたいです。 有村:3人とも、心に思っているわだかまりがスタートラインだという点は同じなんです。ただ場所と環境が違うだけで。だから、清ちゃんがちょっとハイテンションになることで自分の弱さを隠したり、見ないようにしている姿勢もすごく分かりますし、麻由ちゃんのエネルギッシュな大胆さの中に、自分を強く見せることで弱さを隠しているというのもすごく分かる。少し強がっている部分の可愛らしさなど、女性には共感できるポイントがいっぱいあるんじゃないかなと思います。 黒木:有村さんもおっしゃっていましたが、挫折したり、超えなければいけない問題というのは誰にでも少なからずあると思うので、どんなキャラクターにも共感できる部分はあるのかなと。 南:やっぱり麻由はすごくエネルギッシュで勢いのある子だから、(お二人は)それを抑えてくれるお姉さん的な存在でした。私自身は度胸のないタイプなので、麻由にはあんまり共感できないんですけど(笑)。 ●シンガポールでの撮影とお互いへのリスペクト ――シンガポールでの撮影で印象に残っていることや、実際にお芝居をされて感じた、お互いの俳優としての魅力をお聞かせください。 有村:お二方がいつもすごくフラットでいてくれたので、逆にこちらが「こうしないと、ああしないと」と気を張らずにいられて、すごく居心地がよかったです。撮影がみっちり1週間あったので観光地を巡ることはできなかったのですが、みんなでラクサというシンガポール料理を食べに行ったり、ご飯とお酒を少しだけ楽しみました。 沙良ちゃんについては、撮影のときに沙良ちゃんが出されているフォトエッセイをいただいて、そこで紡がれている文章がすごく素敵だなと思いました。自分の思いをいっぱい言葉にするわけではないのですが、心の中に立体的な感情がたくさんあって、役になったときにそれを引っ張り出していく引き出しの多さがすごいなと。これからもずっと、そうやってご自身の言葉を大切にし続けてほしいなと感じました。 黒木:シンガポールでの撮影では雨に降られることも多く、3人で橋を渡るシーンは途中で撮影が止まったりし、何回も撮り直したのを覚えています。撮影後にみんなと行った屋台で、録音部のスタッフさんが大量の串焼きを振る舞ってくれたのも楽しかった思い出として印象に残っています(笑)。 有村さんはイメージと違い、意外とお芝居に男らしさがあり、沙良ちゃんも役柄とは違う底力があって、お二人ともお芝居にかっこよさや思い切りがあり、その上で繊細さもあるので素敵だなと思いながら見ていました。 南:私もやっぱりシンガポールで印象に残っているのはご飯ですね。皆さんと美味しいものを食べられたのがすごく幸せでした(笑)。私はお二人の背中を見ながらただ頑張っていただけなんですが……もう本当に黒木さんはめちゃめちゃかっこいいじゃないですか。勢いもあるし、エネルギーもある。 黒木:ありがとう(笑)。 有村:本当にめちゃくちゃカッコいい! 南:「こういう女性になりたいな」と本気で思っています。 黒木:ならない方がいいよ(笑)。 南:有村さんも、お話ししているとどんどん惹き込まれて、物理的に体が前のめりになっちゃうんです。ミステリアスだけど穏やかで、凛としていて芯がちゃんとある。もっと知りたくなる方だなとすごく思いました。 ●俳優としての“崖っぷち”と、それぞれの乗り越え方 ――作中で和歌子は崖っぷちに追い込まれて行動に出ますが、皆さんは“崖っぷち”に立たされたとき、どういう行動を取るタイプですか? これまで崖っぷちだと感じたエピソードはありますか? 有村:私はちょっと慎重派なので、「えいっ」と思い切って飛び込むのは難しいかもしれないです。結構頭で考えちゃうので、それが悩みですね。崖っぷちという言葉が合うか分からないですが、仕事を始めて何年も経ってから、「このまま続けていても、もう出せるものが何もないな」「辞めちゃった方が楽かな」と考えたことはあります。でも結局、お芝居で悩んでもお芝居に救われるから、もうずっとそれの繰り返しですかね。 黒木:私は、その先があれば飛びますし、その先がなければ引き返します。何を崖っぷちと言うかは人それぞれだと思いますが、私も辞めたいと思ったことはありますし、常に向いてないと思っています。なんとか、なんとなく生きています(笑)。 南:私は割と考える方ではあるんですけど、考えきれないというか……結局すごく楽観的になっちゃうんですよ。「なんとかなるでしょ」って。度胸がないので、そこまで思い悩まずにとどまっちゃう。現実逃避が得意なんです(笑)。 有村:でも、その楽観的なマインドにいられるから、メンタル的に落ちることがなくていいね。現実逃避も大事なことですね。 ●心を保つための“推し”の存在 ――清恵は「推し活」で心を保っていましたが、皆さんにとって今の心を落ち着かせる、一番の“推し”のような存在があれば教えてください。 有村:私は家でお香やアロマオイルを焚くことです。家に帰ってからちょっと香りを嗅いで「ふーっ」て息を吐くのが、自分の中で大事かもしれないです。 黒木:私は美味しいものを食べに行きます。その時に一番欲しているものを。この撮影が終わった時は、お寿司が食べたかったですね。 南:私は動物です。動物が好きで犬も飼っているのですが、やっぱり一番自分の癒しになっています。 有村架純/ヘアメイク:新山いずみ、スタイリスト:瀬川結美子 衣装:ジャケット(¥143000)、パンツ(¥121000)【共に パトゥ/イザ】、ネックレス(¥40700、ジュエッテ) 黒木華/ヘアメイク: 下永田亮樹、スタイリスト:リン リェン リー 衣装:シャツ(¥899,800)、トップス(¥220,000)、パンツ (¥779,900)【Bottega Veneta】、リング(右手人差し指/¥106,700)、リング(右手中指/¥106,700)、リング(左手小指/¥106,700)【H.P.FRANCE】、リング(左手人差し指/¥11,000/LOVE BY e.m.) 他スタイリスト私物 南沙良/スタイリスト:武久真理江、ヘアメイク: 坂本志穂 衣装協力:EITARO、e.m.、seasukii

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