臓器移植のあっせんで1236万円受領か…なぜカンボジア? ドナーは20代の女性? 国内の腎臓移植は15年待ち? 背景を解説

海外での臓器移植手術をあっせんしたとして男3人が逮捕された事件について、テレビ朝日社会部の清田有紗記者が解説した。 今回の事件では、臓器の売買そのものを行っていなくとも、手術を仲介して対価を受け取る「あっせん行為」が罪に問われている。逮捕された菊池仁達容疑者らは、インターネット上に開設した法人のホームページを通じて海外での腎臓移植を希望する男性患者を募り、あっせんの対価として法人口座や個人口座を合わせて計1236万円を受け取っていた疑いが持たれている。この資金の大半は、菊池容疑者個人の借金返済に充てられていたとみられる。 容疑者らは患者に対し「これはあっせんではなく移植のサポートだから違法ではない」と言いくるめ、実際に手術を受けた別の患者の成功体験談を電話で聞かせるなどして巧妙に安心させていた。さらに、男性患者の主治医でも専門医でもない大阪市の病院の院長が、正規の手続きを経ずにカンボジアでの手術に必要な紹介状を作成しており、警視庁は違法性の認識があったとみて、この医師についても任意で調べを進めている。事件は警視庁への相談をきっかけに発覚したとみられるが、その経緯や詳細は明らかになっていない。 手術の舞台としてなぜカンボジアが選ばれたのか、詳しい理由はまだ解明されていないが、当該の現地病院では約3年前にも同様の臓器移植手術が行われた実績があった。菊池容疑者らは今回の男性患者を含め、少なくとも5人の患者へのあっせんに関与したとみられている。このうち、今回の男性患者はカンボジア人の20代女性をドナーとして腎臓の移植手術を受けたとみられている。 現地では手術前日に中国人の執刀医やドナー、日本の患者本人が出席する「倫理委員会」が開かれていたが、その内容は「金銭や脅迫による提供ではないこと」のほかに「移植手術について口外しないこと」を約束させるものだった。国内の正規の手続きではあり得ないこの口止め措置について、警視庁は不透明な移植の発覚を逃れる狙いがあったとみている。患者はカンボジア到着後、中国人コーディネーターに現金で約2450万円という巨額の支払いをしていたが、現地での詳しい資金の流れやドナーへの金銭支払いの実態はまだ分かっていない。 こうした違法な海外移植に患者が手を染める背景には、日本の深刻な臓器移植の実情がある。日本臓器移植ネットワークによると、国内には臓器移植を待つ患者が約1万7000人いるのに対し、昨年の臓器提供実績は158件にとどまっているのが現状だ。特に腎臓の平均待機期間は約15年と突出して長く、今回の男性患者も数年前から腎疾患を患い、親族への移植の打診が断られた末、違法性を認識しながらも海外へ頼らざるを得ない状況だった。しかし、非正規の臓器売買による移植手術は、術後の合併症や感染症による死亡リスクが高い。さらに帰国後、違法手術の懸念から国内の複数の病院にその後の治療を断られ、その間に体調を崩すケースもあるなど患者自身にも重大な危険が伴う。 警視庁は国内の違法あっせんの実態解明を進め、海外の捜査にも繋げたい考えだが、中国人ブローカーや現地当局が絡む国際犯罪の側面が強く、全容解明へのハードルは極めて高いとみられている。 (ABEMA/ニュース企画)

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