熊本県八代市の新庁舎建設を巡り、不正の疑惑を調べる市議会の調査特別委員会(百条委員会)が17日開かれ、新庁舎建設当時市長だった中村博生氏の証人喚問が行われた。中村氏は「入札関係は全て副市長に任せていた」などと証言し、事件への関与を否定した。ただ、当時の市政トップの無責任ぶりに委員からは批判の声が上がった。 中村氏は2013年9月から25年9月まで3期市長を務めた。新庁舎については、発注から建設まで全て中村市長時代に行われた。 前回の百条委では、当時の副市長が、前田建設工業(東京)が入札で有利になる評価基準案は「(あっせん収賄罪などで逮捕・起訴されている)市議の成松由紀夫被告が持ち込んだもので、当時の中村市長にも示し、了解を得ていた」と証言していた。 これに対し、中村氏は「覚えがない」と話した。その上で、「了解はしたかもしれないが、しっかりとした説明はなく、副市長に全て任せていた」とも話した。自身が建設業出身とのこともあり、「極力、入札関係には関わらない方が良いと思っていた」ともした。委員からは「総事業費170億円を超えるような事業で、そういうあいまいな対応で良かったのか」などと批判の声があがった。 一方で、新庁舎の入札方式が一般競争入札から総合評価方式に変更になったのは、中村氏からの指示だったと認めた。「価格競争をさせた方が安くできるというのが一般論ではあるが、その半面悪い部分もある。特に庁舎建設事業は安全性の確保、信頼性を考え、総合評価で行くしかないなと考えた」とした。 この点についても、別の委員から追及があった。八代市の会議の議事録には、担当課は「総合評価ではなく、価格が大きいものについては一般競争入札にすべきだ」との意見を元副市長に上げており、元副市長も賛同していたと記載されている。「総合評価方式をトップダウンで職員に電話してまで言ったのは、例えば前田建設とか、あるいは成松さんから言われたのではないか」との質問に、中村氏は「それはありません」と答えた。また、市の執行部が自民党議長、副議長だけに特別におこなっていたレクについては、自身が奨励したことはなく「以前からあった」とした。 委員会後、中山諭扶哉委員長は「これまでの証言との違いもあり、再度確認が必要。(関係者の)再喚問も検討する」と話した。(座小田英史)