入管に出頭した父親は、それきり強制送還されて戻ってこなかった―誕生日の花を用意して待っていた子どもたちは 「不法滞在者ゼロプラン」の現状を追う

いつもの定期的な入管への出頭日、父親はすぐに帰ってくるはずだった。翌日は、父親の誕生日。子どもたちはお祝いの花束を用意していた。しかし、父親はついに帰ってこなかった。日が変わり、誕生日も深夜になってから、やっとつながった電話で父親は言った。「トルコに強制送還された」 長年住み慣れた日本から、親が、子どもが、突然追放される。そんな非人道的なことが起きている。出入国在留管理庁(入管庁)が5月に「不法滞在者ゼロプラン」を発表して以降、増えた動きだ。 「収容された8カ月間で、体重は10キロ減った。収容所には戻りたくない」。母国での迫害を逃れた難民申請者も、ゼロプランのため再収容や強制送還を恐れて息を潜めて生きている。ゼロプランの現状を追った。(共同通信=赤坂知美、森内みのり) ▽子どもや重病者も対象 8月には、11年前から埼玉県で暮らしていた中学生と高校生のきょうだい3人と両親がトルコへ強制送還された。一家は少数民族クルド人で、3回目の難民認定申請中だった。中1の長女は部活動から帰宅したところ、そのまま入管に連れて行かれたという。

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