「世の中はアンフェアだった」前川彰司さん再審無罪判決から1年、司法に翻弄された38年間振り返る

1986年に福井県福井市で中学3年の女子生徒が殺害された事件で、殺人罪で懲役7年の実刑判決が確定し服役した前川彰司さん(61)が再審公判で無罪判決を言い渡されて7月18日で1年がたった。無実を訴えて闘ってきた38年間について「世の中はアンフェアだった」と振り返る。ただ「背負っていた十字架は軽くなった。これからは前向きに生きたい」と将来を見据えている。 前川さんは一審で無罪判決を受けたが控訴審で逆転敗訴し、その後、刑が確定した。第1次再審請求審で一度は再審開始が決定されたが、検察の異議申し立てで決定が覆るなど司法判断に翻弄(ほんろう)されてきた。当時の取り調べや裁判所の判断を振り返ると「心が折れそうになったこともあった」。それでも「自分が何もしていないことは自分が一番分かっている」と一貫して無実を主張し続けた。 身近な友人や支援団体に加え、信仰するキリスト教の教えも大きな支えだった。一審で無罪判決を受けた90年、福井市内の教会に通うようになり、二審で有罪となった95年に洗礼を受けて信者になった。 昨年7月の再審無罪判決後、足が遠のいた時期もあったが、6月から再び教会に通い始めた。8月には教会が企画する県外のキャンプに同行し、子どもたちの面倒を見る予定で、「奉仕の心を持って世に接したい」と話す。介護タクシーの運転手にも興味があり、「もし二種免許が必要になれば取りたいな」と笑顔を見せる。 無罪確定後、刑事訴訟法に基づき裁判費用の補償や、逮捕から計約8年8カ月余りにわたる身体拘束に対する補償金約4千万円を福井地裁に請求した。使い道については「全額を教会に寄付したい」と述べた。

シェアする

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

フォローする