無差別殺傷計画の男(53)を逮捕…心理的背景にある“リスクとコスト”「踏みとどまる要因がない人」「誰かに止めてほしい心理も」犯罪心理学者が指摘

東京で無差別殺傷事件を起こそうとした男の計画が、男性の通報によって未然に防がれた。 殺人予備の疑いで逮捕されたのは富山県滑川市の無職・毛利勝己容疑者(53)。調べに毛利容疑者は概ね容疑を認めており、秋葉原の無差別殺傷事件を意識していたという趣旨の話をしているという。さらに、「物価高による生活苦から死にたいと思い、東京で無差別殺人を起こせば射殺されるか死刑になるから死ねると思って東京行きのバスを予約した」と供述している。 毛利容疑者は富山発東京行きのバスを予約した上でリュックサックにナイフ1本入れるなどの殺人の準備をした疑いがもたれている。バスの切符は片道分だけを購入していたという。 事件を防ぐきっかけとなったのは、男が送った「秋葉のように楽しくヤッてタヒもイイかとよく思うようになった」というメッセージだった。富山県警に通報したのは、秋葉原無差別殺傷事件の加藤智大元死刑囚の友人・大友秀逸氏だった。大友氏は、今年6月、ABEMA的ニュースショーの秋葉原事件特集に出演したことをきっかけに、翌7月、放送内容を見た毛利容疑者から接触を受けることになる。「“タヒる”ってネットの隠語で『死ぬ』という意味合いのことを急に言ってきた人なので」(大友氏) 毛利容疑者について、「本人がリスクとコストをどれくらい意識していたのか?それが一番重要なポイントになってくる」と語るのは、刑務所で1万人以上の心理を分析してきた犯罪心理学者の出口保行氏だ。 「犯罪の動機を形成するのは誰にでもあること。私にだって山ほどあるが、その時、人というのは何で踏みとどまるのか。犯行の動機を持つことは誰にでもある。私だって同じ。その時に何が要因になるかというと2つの要因がある。それが“リスク”と“コスト”の2つ」(出口氏、以下同) 「リスクというのはそれを実行して、実際にやってしまえば警察に検挙されてしまう危険性の高さ、これがリスク。もっと大事なのはコストのほう。犯罪を説明する時に、昔は経済学の理論などを持ってきて、コストパフォーマンスで説明した。このくらいの力でこんなに儲かるんだったらやるし、こんなにお金、労力をかけてもこれしか儲からないんだったらやめた、という考え方。要はコスパ。ところが刑務所で受刑者たちに会って話をしている時に、コスパで説明した人は一人もいなかった」 コストとは実行によって自分が失うものの大きさで、それは「信用」「仕事」「家族」「友人」などがあるそうだ。「容疑者の今までの生活を見ていると、社会との接点があまりない。例えば、挨拶をしても挨拶をし返してこないとか、いろいろなこと。社会との接点がないということは、それを裏返して考えてみると社会に対する不信感だったり、社会に対する敵意だったりするものが非常に強いタイプだと言える。となると、なおさらコスト感というのが非常に低い。これをやって自分が社会から切り捨てられる。いいえ、私はとっくに切り捨てられています、という風に考えてしまう。だとすると一線を越えて事件化してしまう」と語った。 さらに、「無敵の人」という表現を例に挙げて「『怖いものがない』という意味。怖いものがないというのは結局、失うものがない人ということ。だから更生させるということを考えた時には、基本的にコストの部分をどうやって作っていくことができるのかが最大のポイント」と解説。 「今、自分が起こしている現象は何につながるのか、社会からどういう風に最後は評価されるのか、そこに思いがいかない。実際に事件などいろいろな問題が起きてしまった後に、自分に跳ね返ってきたものの大きさ、これに驚愕することは多い」 毛利容疑者には「誰かに止めてほしい」という思いもあったのか。出口氏は「『誰かに止めてほしい』という心理は必ずある。背中を押してほしいなんて、こういう事件の時は思わない。ひょっとしたら言葉を変えて止めてくれるのではないか、そういう淡い期待があったのだと思う」との見方を示した。 (『ABEMA的ニュースショー』より)

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