「ルフィ」を名乗る指示役らによる広域強盗事件の被害金がマネーロンダリング(資金洗浄)されたとみられる事件で、詐欺容疑で逮捕された樋口拓也容疑者(37)らの犯罪グループがフィリピンを拠点に活動している疑いがあることが捜査関係者への取材で判明した。ルフィグループの指示役も同国を拠点としていたため、警視庁捜査2課は現地で両グループに接点があった可能性もあるとみて経緯を調べる。 また、樋口容疑者らのグループは詐欺事件の被害金を仮想通貨(暗号資産)の流れを匿名化する「ミキシング」という手法で資金洗浄していたとみられる。警視庁は資金の流れを隠す狙いがあったとみている。 樋口容疑者ら3人は2023年4月中旬ごろ、「有料動画サイトの未納料金がある」などと千葉県の60代男性にうその電話をかけ、約120万円をだまし取ったとして詐欺容疑で逮捕された。 捜査関係者によると、樋口容疑者らのグループに以前所属していた関係者から「フィリピンにアジトを置いていた」との情報が警視庁に寄せられた。フィリピンでは、指示役とされるグループ幹部が潜伏しているほか、特殊詐欺の電話をかける「かけ子」が被害者に電話していたとみられる。 ルフィグループの指示役ら4人も、23年2月に日本に移送されるまでフィリピンを拠点とし、一連の強盗や特殊詐欺事件を主導したとされる。被害金のうち現金約1000万円が当時東京都内にあった樋口容疑者宅に運び込まれていたという。 また樋口容疑者らは、だまし取った被害金の出所が分かりにくくなるように、資金洗浄を繰り返したとされる。被害者に現金を振り込ませた銀行口座は、仮想通貨の口座とひも付き、入金されると仮想通貨に換金される仕組みだった。 樋口容疑者らはその中で、仮想通貨の取引に不特定多数の情報を混ぜ合わせることで匿名性を高めるミキシングを悪用していたとみられる。 警視庁は、分析能力が高い警察庁サイバー特別捜査部の協力を得ながら取引履歴を解析。最終的に樋口容疑者の仮想通貨口座に資金が集められ、その後現金化された経緯が判明した。【山本康介、長屋美乃里】