容疑者1年4カ月前に自殺未遂か、大阪・西成の小学生7人重軽傷 父親が語った「急変」

大阪市西成区の小学校沿いの路上で小学生7人が車にはねられ重軽傷を負った事件で、殺人未遂容疑で逮捕された無職、矢沢勇希容疑者(28)=東京都東村山市=が約1年4カ月前に自殺を図っていたことが4日、関係者への取材で分かった。 矢沢容疑者は「全てが嫌になった」「苦労せずに生きている人が嫌だった」などと供述。大阪府警は、矢沢容疑者の不安定な精神状態が社会への恨みや無差別的な犯行につながった可能性があるとみて、詳しい動機を調べる。 矢沢容疑者の父親によると、約1年4カ月前の年末年始ごろ、容疑者は1人暮らしの自宅で自殺を図り、病院に搬送された。病院から一時実家に連れて帰ったが、本人は理由を口にすることはなく、自らの意思ですぐに東村山市へ戻った。 その後も両親はたびたび容疑者宅を訪れ、「ご飯食べているか」「困ってどうにもならなくなる前に言えよ」と声をかけてきた。だが「大丈夫」「分かった」とそっけない言葉が返ってくるだけ。事前に連絡すると会うことを拒まれるため、家の周辺で容疑者が帰宅するのを待つほど、その身を案じていたという。 学生時代はサッカーに打ち込み、大学卒業後に診療放射線技師として就職。同じ時期に東村山市へ移った。当初は「自炊も筋トレもする」と周囲に語り、希望に満ちた様子だったが、2年ほど前に急変した。 身なりに気を使わなくなり、自殺未遂後に部屋に入ると、室内は荒れていた。奨学金の督促状が実家に届き、金を工面したことも。それでも、悩みがあるのかと心配する両親に、容疑者が本心を打ち明けることはなかった。父親は「息子は相手と人間関係をつくり、コミュニケーションを図るのが苦手だったと思う」と話す。 捜査関係者によると、矢沢容疑者は府警の調べに「病院で働いていたが、4月下旬に自主的に辞めた」と説明。事件の動機については「全てが嫌になり、数人の小学生をひき殺そうとした」と話し、「苦労せずに生きている人が嫌だった」という趣旨の供述もしている。自暴自棄に陥った末、負の感情を他者に向けたとみられる。 一方、矢沢容疑者は大阪に土地勘はないとみられ、父親は「家族旅行で訪れたこともないし、本人から大阪に関する話を聞いたこともない」と語った。また「供述の真意は分からない。なぜ何の罪もない子供たちを狙って事件を起こしたのか。被害者の方々には本当に申し訳ない」と深々と頭を下げた。

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