そもそも『恋は闇』というこのドラマのタイトルからして不穏だし、ドラマの中で起きている連続殺人は全身をめった刺しにするという残虐なもの。今回明らかになった過去の事件もとても重いものだ。浩暉(志尊淳)が背負っている過去はどこまでも暗い。浩暉以外の登場人物たちも、どこかしら謎をまとっている。 それでも、3話を観終わったときには不穏さよりも清々しさが残った。これはひとえに、仕事にも恋にもひたむきにぶつかる万琴の姿勢、その万琴を演じる岸井ゆきののまっすぐな眼差しと清冽な存在感がもたらすものだろう。ラストの告白も、そこからのバックハグも、胸キュンシーンでありながら、万琴の決意に心打たれる。「ほんとよくわからない」浩暉に対して、「私が好きなんだからそれでいい」と判断する万琴は、理性を失っているわけではない。仕事を通じて浩暉が自分の姿勢を認めてくれていることを知ったうえでの思いであって、30歳なりの、仕事も踏まえた恋だ。 3話では、浩暉の過去が明らかになった。10年前、母親(紺野まひる)が殺害されていたこと。浩暉はその第一発見者かつ最初の被疑者であったこと。実際に犯人として逮捕され、服役したのは父・貫路(萩原聖人)であり、彼は昨年末に出所したばかりであること──。これによって、2話まで物陰からちらちらと姿を見せていた謎の男が浩暉の父であったこともわかった。 現在起きている連続殺人事件「ホルスの目」と似た殺害方法で殺された浩暉の母親。警察の大和田(猫背椿)、真聖(白洲迅)は当時の事件資料を見直し、当時の鑑識を担当していた松岡(浜野謙太)の話も踏まえて、貫路が息子をかばっていたのではないかと浩暉への疑いを強める。 浩暉がデータを消したと疑われている「ホルスの目」事件の日の防犯カメラ映像には、はっきりと浩暉が映っていた。現場付近で犯人らしき男を見たという中学生(大倉琉人)の証言でも、黒いレインコートを着た男は浩暉くらいの身長と言われた。シンプルに、浩暉が怪しすぎる。そんな中で真聖の言葉が浮かぶ。 「なんか、腑に落ちる筋書きすぎて、腑に落ちません」 ところで、「ホルスの目」事件は女性会社員ばかりを狙った殺人事件だが、浩暉の母親はエリート弁護士。この職業は、あとあと何かに関わってくるのかもしれない。