知人女性を刃物で切り付けたとして20代の男が5月6日に逮捕された事件で、警察が事件を知ったのは、女性に貸し出していた「通報装置」がきっかけでした。 川崎市での事件など、ストーカーなど男女間の事案に対する警察の対応に厳しい目が注がれる中、熊本県警の対応を取材しました。 傷害の疑いで逮捕・送検されたのは、熊本市東区の会社員、山口貴海(やまぐち たかみ)容疑者(21)です。 山口容疑者は5月5日、熊本県益城町の会社で、カッターナイフのような刃物で20代の知人女性を切りつけて、けがをさせた疑いが持たれています。 警察の調べに対し、山口容疑者は「交際関係で揉め、彼女にイライラしていた」と容疑を認めているということですが、女性は「交際関係になかった」と話しています。 今回、襲われた女性は「GPS機能付き緊急通報装置」を作動させ、警察はそれをもとに駆け付けていました。その通報装置は女性が警察から貸し出されていたものです。 通報装置のボタンが押されたことで、警備会社を通じて警察に位置情報が伝えられました。警察によりますと、この装置が絡んだ逮捕は熊本県内で初めてとみられます。 ■通報装置をさらに詳しく―― 「GPS機能付き緊急通報装置」は、ボタンを押すだけで、おおまかな位置情報が警備会社に伝わり、そこから警察へ通報される仕組みです。 通報を受けた警察は、事前に女性の勤務先を把握していたため、「勤務先で被害に遭った可能性が高い」と判断できたようです。 ――簡単に借りられる? 装置の貸し出しに基準はありませんが、数に限りがあるということです。 そのため、警察は、装置を貸し出せない場合でも、相談内容や勤務先などを登録してもらうことで、被害者が110番をかけ、電話口で詳しい事情を話さずとも、すぐに対応できるシステムを導入しています。これを「110番緊急通報登録システム」といいます。 その上で、つきまとう相手の目の前で110番をかけることすら難しいケースも想定されるため、危険度がより高いと警察が判断した場合には、今回の装置を貸し出すということです。