大阪市西成区の小学校沿いの路上で小学生7人が車にはねられて重軽傷を負った事件で、殺人未遂容疑で逮捕された無職、矢沢勇希容疑者(28)=東京都東村山市=が、大阪に到着後の一夜を「車中泊した」と供述していることが8日、捜査関係者への取材で分かった。事件は同日で発生から1週間。足取りや動機で未解明の部分は多く、大阪府警は自宅から離れた場所で小学生を狙った理由など事件の全容解明を進める。 ■車で場当たり的に移動か 捜査関係者によると、矢沢容疑者は4月29日にJR新大阪駅周辺のレンタカー店でスポーツ用多目的車(SUV)を借りていた。5月1日朝が期限だったが返却されず、同日昼過ぎに事件が発生した。 この間のうち一夜について、矢沢容疑者は「車中泊した」と説明しているという。車で場当たり的に移動しながら事件を起こす場所を物色していた可能性がある。 府警は8日に東村山市の容疑者宅を捜索。ノートや日記帳など63点を押収して解析を進めるが、足取りとともに焦点となるのが動機だ。 矢沢容疑者は「全てが嫌になり、数人の小学生をひき殺そうとした」と供述。さらに、「苦労せずに生きている人が嫌だった」との趣旨の話もしたとされる。 ■自殺図り病院に搬送 背景に何があったのか。父親によると、容疑者は埼玉県出身。大学卒業後に診療放射線技師として就職するとともに実家を離れて東村山市で1人暮らしを始めた。 ただ、2年ほど前から身だしなみに気を使わなくなるなど容貌が変化。約1年4カ月前には自殺を図って病院に搬送された。安否を気遣う両親に対し、悩みや自殺未遂の理由を語ることはなかったという。 その後もしばらくは仕事を続けていたとみられるが、容疑者は府警に対し、「働いていた病院を4月下旬に自主的に辞めた」と説明。事件直前は自暴自棄に陥っていた恐れもある。 一方、父親は容疑者と大阪との接点を否定。なぜ土地勘のある関東地方ではなくて大阪へ移動し、繁華街や主要駅からも離れた小学校付近で事件を起こしたのかは判然としていない。 ■専門家分析「突発的に実行か」