千葉市若葉区の路上で女性の背中を刃物で刺して死亡させたとして、同区内に住む中学3年生の男子生徒(15)が殺人容疑で逮捕された。男子生徒の家族は逮捕当日の12日夜、報道陣の取材に応じた。何を語ったのか。 ◇父親「警察に期待」 「何かしら悪いことを起こす可能性を秘めていると思った。それで定期的に警察の方に行って、抑止になるんじゃないかということに期待していたんですが……」 男子生徒の父親は報道陣にそう答えた。 一家は男子生徒ら3人きょうだいと父親、祖父母の6人家族。父親によると、男子生徒は小学生ごろまでは「明るい、いい子だった」。 中学校に進学して入った部活動はすぐにやめ、次第に家庭内でも会話をしなくなり、うまくコミュニケーションが取れなくなっていった。父親は「干渉を嫌がるようになった」と振り返り、「家族の全員と仲が悪かった」とも明かした。 中学2年になると、補導や家出があり、月に1回、定期的に警察と面接し、そこで生活態度などの指導を受けていたという。一方、同級生とトラブルになって学校から連絡を受けたこともあった。 父親は言う。 「次に何かやったら捕まってしまうというのを、(男子生徒に対して)うちの家族から言ってもちゃんと聞いてくれるかどうかという部分がある。警察の方からそういった指導をしていただいた方が抑止力になるかなというのを期待していた」 だが事件が起きてしまった。受け止めを聞かれた父親は「通常は起こるとは思っていない事態なので、全然受け止められていない」と話し、被害者に「申し訳ない」と繰り返した。 ◇祖父母「私にしてほしかった」 祖父は男子生徒の性格について「内向的でうちにこもるタイプ」だと表現し、「基本的には本人が会話したがらない。女房(祖母)が気にかけて話しかけていた」と説明した。学校には登校していたという。 祖母は「私たちもびっくりしています。正直言ってうちの孫がそんなことをしているとは思っていなかった。(12日の)朝起きたら警察の方が来ててびっくりして」と目を潤ませた。 男子生徒が逮捕後、「誰でもよかった」と供述していると報道されたことについて、祖母は「誰でもよかったんだったら、せめて私たちにしてもらいたかった。私にしてほしかった。被害者の方には申し訳なくて。家族がいらしたでしょうし……」と声を震わせた。 祖父も「誰でもいいなら、私を殺してもらった方がよっぽどよかった。どうやって償えばいいのか」と嘆いた。男子生徒に対して言いたいことはないか聞かれると、「言葉が出てこないです」と答えた。 ◇事件当日の夜「至って普通」 男子生徒は11日、日中外出していたといい、夕方に事件を起こした後に帰宅したとみられるが、家族は、事件に関わったことに全く気づかなかったと口をそろえる。 父親によると、その日の夜、男子生徒は祖母の作った夕食を食べていた。「変な話だが至って普通だった。特に落ち着きのないこともなかった」。翌12日は警察署に面接に行く日だったため、その話をしたが「警察という言葉が出ても挙動不審になることもなかった」と振り返る。 12日早朝、約10人の警察官が家宅捜索に来て、家族は事件への関与を知る。 2階の部屋で寝ていた男子生徒を警察官が起こし「何できたか分かるか」と聞いた。男子生徒は慌てることなく、素直に調べに応じたという。その後、父親は別々に調べを受けた。 事件の予兆はなかったか。 そう問われると、父親は「(男子生徒が)語気を強めることもあり、あまり詳しく聞き取りができていなかった」と話した。 その上で、今後について「家族としてどうサポートしていくのか。我々も力不足があるというのは、警察の方にも相談させていただいています」と打ち明けた。【洪玟香、平塚雄太】