全国B型肝炎訴訟熊本弁護団の預り金9300万円余りを横領した罪に問われている元弁護団長の裁判が15日から熊本地裁で始まりました。 元弁護団長は15日、審理が行われた約4360万円を横領した罪について起訴内容を認めました。 【吹き替え】 「B型肝炎に罹患した熊本県内の被害者救済にとって歴史的な一日となりました。加害者である国は、こうした被害者の思いを真摯に受け止め、全ての被害者救済に向けて、もっと積極的に動いてほしいと思います」 全国B型肝炎訴訟の熊本訴訟で、初めて和解が成立した2012年6月。 自らのブログにこう思いをつづった熊本弁護団の当時の弁護団長の男は、その6年後、被害者を裏切る罪を犯しました。 事案が発覚したのは、おととし3月。 熊本弁護団で、預り金約1億4000万円の使途不明金が発覚し、このうち約9000万円について元弁護団長の男が私的流用を認めました。 男の名は、内川 寛。その後、3件の業務上横領事件で逮捕・起訴され、15日、熊本地裁で初公判が開かれました。 【前田 美沙希 記者】 「きょうの初公判、内川被告は約40人が座る傍聴席を見ることはほとんどなく、淡々と裁判長の質問に答えていました」 起訴されているのは全国B型肝炎訴訟熊本弁護団の元弁護団長、内川 寛 被告(63)です。 起訴状などによりますと、内川被告は2018年5月からおととしまでの間に弁護団長として会計管理をしていた弁護団の預金口座から170回にわたって現金を引き出し、合わせて9300万円余りを自分の口座に入金するなどして横領した罪に問われています。 15日の初公判では、先に起訴された約4360万円を横領した罪について審理が行われ、内川被告は「間違いございません」と起訴内容を認めました。 また、検察は冒頭陳述で「内川被告は自分の支払いや納税に使うために横領し、発覚を免れるため、和解の件数や金額を弁護団に過少申告していた」と指摘しました。 法廷でかつての「弁護する立場」から「弁護される立場」に変わった内川被告。 次回の公判では残りの約5000万円について罪状認否が行われる予定です。