刑事事件の捜査・公判手続きをIT化する改正刑事訴訟法などが16日、参院本会議で可決、成立した。逮捕、捜索に必要な令状や裁判書類を電子化し、オンラインでやりとりできるようにするのが柱。2027年3月末までに全面施行で、政府は26年度中の一部運用開始を目指す。紙と対面が原則の刑事司法手続きが一変、迅速化と効率化によって捜査現場の負担軽減が期待される。 現行法では令状の請求や発付の際、捜査機関は裁判所に足を運ぶ必要がある。地域によっては長距離移動を強いられ、執行までに時間を要するといった課題があった。改正法施行後は取得までがオンラインで完結でき、タブレット端末で表示させて執行する。 公判で法廷と離れた場所を映像と音声でつなぐ「ビデオリンク方式」は、病気などで出廷が困難な被告本人や証人を対象に追加し、遺族ら被害者参加制度の利用者にも範囲を広げる。弁護人が検察庁に出向いて捜査書類をコピーしてきた証拠開示の在り方も変わり、電子証拠としてオンラインで取得できる。