埼玉県三郷市で下校途中の小学生を車でひき逃げしたとして、中国籍の男性が逮捕された。 埼玉県警によると、容疑者は車の運転免許証を持っていたという。 外国籍の人が日本で車を運転するにはどんな手続きが必要なのか。 警察庁によると、外国の運転免許証を持つ人が日本で車を運転するには、三つの方法がある。 ①道路交通に関するジュネーブ条約に基づく国際運転免許証を所持する②外国・地域の運転免許証に日本語の翻訳文を添付する③日本の免許証を取得する――のいずれかだ。 中国はこの条約に加盟していないため、中国で発給された運転免許証を保有していても国際運転免許証を取得することはできない。 また、外国・地域の運転免許証に日本語訳を添付するのが認められるのは、日本と同等の免許制度を有しているとされる国・地域のみで、スイス、ドイツ、フランス、ベルギー、モナコ、台湾が対象だ。 このため、中国籍の人が運転するには③しかない。ただ、母国の免許証があれば日本の教習所に通わなくても取得できる方法がある。 それが、運転免許試験場で学科や技能試験を受ける「外国免許切り替え」(外免切替)制度だ。 試験をパスすれば、旅行中であっても滞在先のホテルを住所として免許を切り替えられるケースもあるという。 外免切替で免許の交付を受けた中国籍の人は2023年に1万1247人とベトナムに次いで2番目に多く、10年前の2・4倍に上った。 埼玉のひき逃げ事件の容疑者が所持していた免許証が外免切替だったのか、日本の教習を受けて取得したかについては判明していない。 この外免切替については「外国籍の人が容易に日本の免許を取得できる」として、国会で問題視されることもあった。 政府は2月、外国の免許について「当該国で運転能力を確認されていることを踏まえ、免許試験の一部を免除している」とした上で「道路交通の安全確保のために必要な措置は講じられているものと認識している」とする答弁書を閣議決定した。 3月の衆院予算委員会では坂井学国家公安委員長が手軽さといった外免切替の課題を認めた上で「制度と運用の両面から検討を進める」とも述べた。 そうしたなか、河野太郎前デジタル相は5月12日、X(ツイッター)に「日本に住民票のない中国人が、来日して中国の運転免許証を日本の免許証に切り替えるのは今後認めないことを警察庁が明確にしました。ルールの適用が杜撰(ずさん)だったものについて、きっちりと法令が適用できるように目配りをしていきます」と投稿した。 公明党の谷合正明参院議員も「警察庁からは、住所を証明する書類として住民票が中心となっていることを踏まえ制度見直しを考えている、と聞いております」と河野氏の投稿に反応していた。【川上珠実、垂水友里香、柿崎誠】