5月20日に改正風俗営業法が衆議院で可決・成立した。改正法ではホストの「売掛金」や「色恋営業」を禁止しただけでなく、風俗店が女性を紹介してもらう見返りとして払うスカウトバックも禁止となる。 4月22日には警視庁が、性風俗店に女性を違法にあっせんし、スカウトバックを隠したとして、スカウトグループ『アクセス』のリーダー遠藤和真容疑者(33)を組織犯罪処罰法違反(犯罪収益の隠匿)容疑で再逮捕している。 「遠藤容疑者は昨年11~12月、全国のソープランドなど8店舗に性的サービスをさせることを知りながら女性を違法にあっせん。店舗側に27人分のスカウトバックとして現金149万円を6回にわたってバーチャルオフィスへ発送させて隠した疑いです。 遠藤容疑者は店舗側に『警察関係が厳しくなっていまして、履歴が残りやすい振り込み入金は避けてほしい』などと要求していたそうです。この逮捕以前にも遠藤容疑者は職業安定法違反(有害業務の紹介)容疑で7回逮捕されています」(全国紙社会部記者) この逮捕に先駆けて、1月27日には、女性を売春目的で性風俗店に紹介したとして、国内最大規模のスカウトグループ『ナチュラル』のメンバーの男らが職業安定法違反の疑いで逮捕された。警視庁の見立てでは、同グループのメンバーは全国に約1500人もおり、年間50億円ほどの売り上げがあるといい、潤沢な動員力や資金力を誇るとみられていた。 「まるで暴力団組織壊滅を目的とした頂上作戦のごとく、警視庁は〝スカウト狩り〟を決行しました。スカウトは『匿名・流動型犯罪グループ』であるトクリュウの代表格に位置付けられています。 現在、ホストクラブの売掛金などを抱えた女性らを売春目的で性風俗店にあっせんし、その犯罪収益を吸い上げていたとみて、両グループの実態解明を進めています。今後、スカウトからあっせんを受けた風俗店の店長や女性をスカウトにあっせんしたホストらも逮捕されることになるのでは」(同前) ◆“個人営業”に走るソープ嬢も 徹底したスカウト取り締まりの背景について元埼玉県警捜査一課の佐々木成三氏は次のように語る。 「警察はトクリュウのカネが反社に流れていることから取り締まりを強化しています。また、スカウトという職業をカッコいいと思う若者が、罪の意識なくSNSなどで簡単にアクセスして、それをきっかけに詐欺など犯罪に手を染めて検挙された例がありました。スカウトが違法だということを知らしめる意味もあるでしょう」 この徹底したスカウト摘発の影響が、都内の風俗店では早くも現れ始めているという。 「日本最大のソープ街として知られる東京・吉原では、大量にスカウト経由のソープ嬢が解雇される事態になっています。スカウトを頼れなくなった元ソープ嬢たちは、SNSで元ソープ嬢を名乗って〝個人営業〟したり、超高級交際クラブに登録するなど、手っ取り早く稼ぐべく必死です」(風俗ライター) 都内で長年派遣型風俗店を営み、20年以上にわたってスカウトグループ経由で女性を集めていたオーナーはこう話す。 「ごくまれにフリーでやっているスカウトもいますが、都内の人気店は大半『アクセス』か『ナチュラル』のスカウトを入れていました。うちもそうでしたが、さすがにもうスカウト経由の女性は雇っていません。うちの場合だと、スカウトには紹介してもらった女性が働いている間、月単位で売り上げの10~15%のスカウトバック、さらには『月に何人以上は店に入れる』という条件で5~7万円の顧問料を支払っていました」 ◆「女性のレベルは圧倒的に上」 それだけの対価を支払ったとしても、スカウトに頼るメリットは大きかったという。 「求人広告だけで女性を集めるのが、なかなか難しい。それに、スカウトに『こういう感じの女性をお願いします』と依頼すると、こちらのリクエスト通りの子を何人かリストアップしてくれる。その子が売れてくれれば、スカウトに支払った金なんてすぐに回収できていました。フリーのスカウトもたまにいい子を連れて来ますが、やはり連れてくる女性のレベルは圧倒的に両グループのスカウトのほうが上でした」 大手スカウトグループが壊滅状態となり、スカウトバックも禁止となった今後はどうなるのか。このオーナーは「スカウトというビジネスはなくならないでしょう」と予見する。 「両グループで逮捕を免れたメンバーがフリーでの活動を活性化させるのではないでしょうか。グループで大々的にやっていたために、警察に目を付けられてしまいましたが、個人で店と契約して動くぶんには把握されづらい。中には悪質なスカウトもいたのでしょうが、働き手の女性にも店にも必要とされていたのだから」 法で取り締まられるのであれば、地下に潜ってやるだけ。今後は〝闇スカウト〟が横行しそうだ。