【今年の傾向を読み解く】 第78回カンヌ国際映画祭 受賞結果を総チェック

南仏カンヌで2025年5月13日から24日まで開催された、第78回カンヌ国際映画祭が閉幕した。フランスが誇る世界的俳優のジュリエット・ビノシュ率いる審査員団により、最高賞パルムドールに選出されたのは、『UN SIMPLE ACCIDENT(英題:It Was Just an Accident 原題:Yek tasadef sadeh)』だった。 今年は抑圧されたものを解き放つ作品が目立った。報道や言論、もしくは「真実」そのものが統制されることが当たり前になってきたきな臭い雰囲気に、映画祭がNOを突き付けたと言えるかもしれない。 パルムドールに輝いたジャファル・パナヒはかつて自国での映画制作を禁じられながらも映画を撮ることを止めなかった伝説の人。プレミアでは、上映前からビノシュが自ら挨拶に向かうという異例の行動をとったと伝えられている。彼女は記者会見で明確に、映画が政治や社会の先を描き、時代に沿う必要性を語っていた。もはや政治と距離を置くことでクールを気取ったアーティストなど、20世紀の遺物なのかもしれないと感じさせる雰囲気を感じた78回目のカンヌ。 カンヌ映画祭はお祭りではあるが、世界最高峰の映画人が集結する場でもある。映画とは芸術であり、芸術は社会に貢献できるはず。そんな熱意を感じることもできる受賞作品一覧を見て、2026年まで続くだろう映画界のトレンドをいちはやく感じ取ってみてはいかがだろう。

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