機械メーカー「大川原化工機」(横浜市)の社長らが外為法違反容疑で逮捕され、起訴が取り消された冤罪事件を巡る訴訟で、違法捜査を認め、東京都と国に計約1億6600万円の賠償を命じた東京高裁判決に対し、都と国が上告を断念する方向で調整していることが7日、関係者への取材で分かった。上告理由が見いだせないなどと判断しているとみられる。 警視庁公安部と東京地検は当初、霧状の液体を熱風で瞬時に粉末化する同社の「噴霧乾燥装置」が輸出規制対象と判断し立件した。5月28日の判決で太田晃詳裁判長は、公安部の輸出規制の解釈が、国際基準に照らし根拠を欠いていたと判断。法令を所管する経済産業省側に問題点を指摘されても再考せず逮捕したとし、一審判決より違法性の度合いが強まった。 検察も起訴を慎重に判断すべきだったのに、装置の検証を怠ったと認定。犯罪成立の判断を「合理的な根拠を欠いた」と指摘した。