東京都と国、上告断念へ 警視庁と地検の「違法」認定 1.6億円賠償命令・大川原化工機訴訟

噴霧乾燥機の不正輸出容疑で逮捕され、後に起訴が取り消された機械メーカー「大川原化工機」(横浜市)側による損害賠償請求訴訟で、東京都と国が、警視庁の捜査と東京地検の起訴を違法とした東京高裁判決について、上告しない方向で検討していることが7日、関係者への取材で分かった。 上告期限は11日。民事訴訟の上告は判決に憲法違反や重大な訴訟手続きの違反がある場合などに限られており、都と国は上告理由を見いだすのが困難と判断しているもようだ。同社側も上告しない方針で、断念すれば都と国に計約1億6600万円の賠償を命じた高裁判決が確定する。 東京高裁は先月28日、警視庁公安部の逮捕と東京地検の起訴などについて、「合理的な根拠に欠ける」として、一審東京地裁に続き違法と認定。都と国に賠償を命じていた。 公安部は2020年3月、軍事転用可能な噴霧乾燥機を無許可で輸出したとして、外為法違反容疑で同社の大川原正明社長ら3人を逮捕。初公判直前の21年7月、地検は輸出規制対象に当たるか疑義が生じたとして起訴を取り消した。 訴訟では一審の証人尋問で、捜査に当たった現職警察官が事件を「捏造(ねつぞう)」と証言。二審で証人出廷した警察官も、捜査が強行された理由を「決定権を持つ人の欲だと思う」と話すなど、異例の展開をたどった。

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