相次ぐ現職警察官の盗撮事件 「一番安全なはずのトイレ」でも、なぜ繰り返されるのか

現職警察官の盗撮事件が相次いで明らかになった。京都府民の安全を守る立場であるはずの警察官による卑劣な行為に、専門家は「人権意識が欠如している」と厳しく指摘する。 「府民の信頼を大きく損ねる事案。深くおわび申し上げる」。15日午後、京都府警の洞修司首席監察官が頭を下げ、警察官2人に対する懲戒処分を発表した。処分を聞いた女性警察官は、「警察の中にあるトイレは府民にとって一番安全なはず。社会的信用を失う」と嘆いた。 近年、府警警察官による盗撮事件は後を絶たない。昨年9月に下京署の男性巡査、今年3月に宇治署の男性警部補が書類送検されるなど、2022年以降、今回の2人を含めて6人の警察官が逮捕、書類送検されている。 府警は駅構内に盗撮防止用の鏡を設置するなど、盗撮の撲滅に向けて対策に力を注いできた。その中で発覚した今回の事件。幹部の一人は「考えられない不祥事。取り組みが水泡に帰してしまう」と憤った。 府警は容疑者を逮捕した場合は原則、氏名を発表するが、今回のような書類送検のケースでは公表しない。別の幹部は「氏名を公表して社会的制裁を与えるくらいでないと、抑止にならない」とさえ言い切った。 警察の内情に詳しいジャーナリストの大谷昭宏さんは「犯罪を取り締まる側が警察施設で犯罪を行うというのはあり得ない事態。警察のトイレですら盗撮行為の現場になっているということが、どれだけ女性にとって不安なことか、府警は認識すべきだ」と話す。全国の警察が女性警察官の採用を強化する中、「このような事件が起こると、女性にとって安心して働ける職場ではないということになりかねない」と問題視する。 追手門学院大の櫻井鼓教授(犯罪心理学)は「性犯罪は大きく心を傷つける。心の傷は一般に想像されるより重く、罪名によって大小は測れない。盗撮が行われた場所に行けなくなるなど、被害者の日常生活や人生を変えてしまう」と説明する。府警は、個人に応じた指導教育を強化して再発防止を図るとするが、櫻井教授は「同様の事案が続いているなら、なぜ同じことが繰り返されるのかの要因分析が必要だ」と指摘する。

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