10日午前(現地時間)、米カリフォルニア州ロサンゼルス(LA)の代表的な名所の一つ、6番街「宝石街エリア」のあちこちにガラスの破片が散らばっていた。商店の門は壊されて板でふさぎ、陳列台は空っぽだった。乱闘の場になった同エリアのランドマーク、アップルストアには「営業をしばらく中断する」という案内が貼られていた。 LAの都心で続く反移民政策デモの鎮圧に警察力が集中する間、前日夜に発生した大規模略奪の現場だ。 急いで雇用した警備員と被害状況を点検してセキュリティー強化について議論した宝石店経営者シェキル・モーションさんは「略奪者が集まって店を壊し、店内のものをすべて持っていった」とし「夜中に財産が略奪されるのを監視カメラで見ながら何もできない状況に怒りを感じる」と話した。警察は何をしていたのかという質問に、モーションさんは「デモ鎮圧のため、略奪が行われている現場に警察は見られなかった」とし「LAでは似た略奪が繰り返されるため、店主の立場では個別に警護要員を雇うしかない状況」と話した。 宝石エリアの店の大部分はこの日は閉鎖され、店主は追加の被害を防ぐために警護員を雇い、ショーウィンドーを板で覆った。 付近に居住するチャーリー・シーズンさんは「夜中にバイクの騒音とガラスが割れる音で一睡もできなかった」とし「狂った略奪者の行動を不合理な移民政策に対応するデモ隊がしたものと見るのではないか心配だ」と語った。シャーマン・メラニー氏も「国家的な混乱状況の中で黒人と白人、ラテン系、・アジア系が一つになるべきだが、危機の状況を悪用する人たちに怒りを感じる」と話した。 5日目を迎えた大規模デモの中、LAで略奪など犯罪が増えると、トランプ米大統領はデモ隊を「獣」に比えて攻撃をさらに強めた。トランプ大統領はこの日、ノースカロライナ州陸軍基地フォートブラッグで演説し、「外国の国旗を持った暴徒がわが国を侵攻している」とし「LAは統制されない移民のために腐った汚物の場になった」と語った。 軍兵力の投入についても「私が軍隊を送っていなければLAは火の海になったはず」とし「彼らは厄介者・扇動者・反乱者にお金を払い、意図的に犯罪者が都市を占領するのを助けている」と主張した。 治安の不安と共にトランプ大統領の攻勢が強まると、この日、デモ隊はこれまで対峙していた連邦建物前の集会の代わりに街頭行進をし、近くの公園に集まって平和集会を開いた。 バスLA市長もこの日、「前日夜、23カ所の事業場が略奪された」とし「バンダリズム(公共施設破壊)と略奪を防ぐために通行禁止令を発令する」と明らかにした。午後8時から午前6時まで通行が禁止される地域は公共機関が位置する市内の約2.6平方キロメートルだ。 通行禁止令発令の直後、ニューサム知事はテレビ演説で「トランプ大統領が州防衛軍を掌握し、州防衛軍4000人と海兵隊700人を召集して状況を煽っている」と述べた。そして「カリフォルニアが最初かもしれないが、これで終わらないはず」とし「次は他の州に拡大するはずで、その後は民主主義に対する攻撃があるだろう」と話した。 実際、ニューヨークタイムズによると、この日のデモはLAをはじめ、サンフランシスコ、シカゴ、ラスベガス、オースティン、アトランタ、ニューヨークなど24都市以上で同時多発的に行われた。サンフランシスコでは数千人が集まって集会を開き、ニューヨークでもマンハッタンのトランプタワー周辺でデモ隊が警察と対峙し、少なくとも9人が逮捕された。 こうした中、テキサス州のグレッグ・アボット知事(共和党)は秩序維持のため州防衛軍を投入することにした。アボット知事はこの日、X(旧ツイッター)に「平和的なデモは合法だが、人や財産を害する行為は不法であり逮捕されることもある」とし「テキサス州防衛軍はあらゆる手段を動員して法執行機関が秩序を維持できるように支援する」と述べた。 トランプ大統領の誕生日の14日にワシントンで開催される米陸軍創立250周年記念軍事パレードをきっかけにデモはさらに拡大する可能性がある。14日に100余りの市民団体が米国全域で開催する「ノーキングス(トランプ大統領は王でない)」デモには数百万人が参加する予定だ。