鳥取市で3月末、小学生(9)を車ではねて意識不明の重体にさせたとして逮捕された男(74)が、3日後に釈放されたその日のうちにひき逃げ事故を起こしたとして再び逮捕された。男は朝日新聞の取材に対し、釈放当日に運転したのは、島根県内に住む親族に会いに行くためだった、と語った。 鳥取、島根の両県警によると、男は3月31日、鳥取市内の県道交差点で小学生の男児を車ではねて意識不明の重体にさせたとして自動車運転死傷処罰法違反(過失運転致傷)の疑いで現行犯逮捕された。 3日後の4月3日に釈放され、在宅捜査に切り替わったが、2件目の事故は釈放当日だった。島根県安来(やす)市の市道で自転車の男子高校生(15)をはねて軽傷を負わせたのに、そのまま逃げたとして、道路交通法(ひき逃げ)などの疑いで同11日に逮捕された。 運転免許の停止や取り消しの処分には、一定の時間がかかる。そのため、男が釈放当日にハンドルを握ったことは、「悲しいかな、やむを得ない」と鳥取県警幹部。 朝日新聞の記者は5月中旬、男の自宅を訪ねた。釈放後は列車などで帰宅後、車で島根県内の親族宅へ向かった。留置場にいる間、1件目の事故後の対応に動いてもらったといい、「お礼に行くためだった」と話した。 2度目の逮捕から約2カ月後の6月10日、男はまた逮捕された。道交法の無免許運転容疑。 鳥取県警によると、3度目の逮捕容疑は5月7日、運転免許がないのに、同県伯耆(ほうき)町内の国道を軽トラックで走行したというもの。男の運転免許は、2件目の事故後に県公安委員会が正式に取り消していた。男は「運転していません」と否認しているという。(中川史、清野貴幸)