2019年、香港民主化デモが起きて以降、自由が失われることをおそれ、約50万人の香港人が海外へ逃れました。一方、今、中国本土から香港への移住が急増。彼らは「新香港人」と呼ばれています。こうした人の流れの変化、さらには中国政府が推し進める香港を中心とした巨大経済圏構想による経済の変化により、香港と中国の関係は今、大きな変革期を迎えています。「中国化する香港」に対して、香港の人々は何を想うのか。現場を取材しました。 ■民主化デモから6年 香港の今 3年前、北京から香港に移住したアレンさん。香港のIT企業に勤務しています。 北京出身 アレンさん(33) 「香港は働く人にとっての天国だという言葉があります。税金が安い上に給料が高いですから」 今、彼のように中国本土から香港に移住する人が急増しています。 きっかけは2019年、香港市民が民主化を求め起こしたデモでした。 警察は催涙ガスを使い、市民を抑え込もうとするなど香港の混乱は約半年間続きました。 翌年、中国政府が主導し「香港国家安全維持法」を施行。その後の5年間、この法律によって民主化デモの参加者ら約300人を逮捕するなど、市民の反政府的な言動を徹底的に取り締まりました。 ■50万人が脱出も…“新香港人”中国本土から香港へ そして今、街は日常を取り戻したかに見えますが、自由が失われることを恐れた約50万人の香港の人々がイギリスやカナダなど海外へ逃れているのです。 香港で移民手続きのサポートをしてきた羅さんは… 香港移民サポート会社 羅立光 社長 「私の友人の会社では社員200人のうち、50人が海外へ移住してしまいました」 香港から逃れたのはITや金融関係などの仕事につく高い専門性を持つ人々。 危機感を強めた香港政府は、ビザの緩和によって世界中から人材を呼び込む制度を始めました。 その後、2年間で約7万人が香港にやってきましたが、そのほとんどが中国本土からの人々でした。