6日に内乱事件特別検事チームが尹錫悦(ユン・ソクヨル)前大統領に対する拘束令状を請求した。令状実質審査は9日にソウル中央地裁で開かれる。3月8日に裁判所の拘束取り消し決定で釈放された尹前大統領は4カ月ぶりに再び拘束される岐路に立った。適用された容疑は特殊公務執行妨害と職権乱用権利行使妨害などだ。特検が請求した拘束令状によると信じ難い犯罪容疑が多数明示された。 尹前大統領は1月に大統領警護処を動員して高位公職者犯罪捜査処の逮捕状執行を阻止する過程で外部に銃器を露出したまま巡察しろなど不当な指示を与えた容疑を受けている。高位公職者犯罪捜査処の2度目の逮捕状執行の試みを控えた1月7日に尹前大統領はキム・ソンフン警護処次長(当時)に「警護処は政治陣営に関係なく前現職大統領、国軍統帥権者の安全だけ考える」という趣旨のメッセージを送ったという。また、1月11日に官邸でキム前次長らと昼食をしながら「メディアでは特攻隊と機動隊が入ってくるというが警察は専門性もなく銃は警護官がはるかにうまく撃つ。見せるだけで怖がるだろう。銃を持っていることを少し見せてみろ」と話した部分が令状で指摘された。 当時の高位公職者犯罪捜査処の捜査範囲に不明確な部分があったのは事実だが、裁判所が発給した適法な逮捕状があった。こうした状況で尹前大統領が警護処に逮捕を防げと指示するのは法を無視した行動だ。その上に銃まで見せ武力示威をしろと言ったという発言が事実ならば衝撃的だ。尹前大統領は非常戒厳以降に手続きと法的欠陥を隠すために事後宣布文を作り、韓悳洙(ハン・ドクス)前首相と金竜顕(キム・ヨンヒョン)前国防部長官の署名を受けたが、韓前首相の要請を受けて後にこれを廃棄したという容疑まで受けている。 特検が拘束令状を請求すると尹前大統領の弁護団は「無理な拘束令状請求。逮捕阻止を指示したことはなく、不当な逮捕に抵抗したことで特殊公務執行妨害は成立しない」と反発した。だが忠誠派とされるキム前警護処次長まで尹大統領側の弁護人が席をはずすと尹前大統領に不利な陳述をしたという内容が拘束令状に含まれたという。尹前大統領の誤った判断で当時の閣僚の多くが特検の捜査対象に上がった。尹前大統領の指示を受け非常戒厳を実行した将軍は拘束され裁判を受けている。戒厳当日の国会への軍進入過程などを見ても尹前大統領の釈明は客観的事実に合致しないことが多かった。尹前大統領はこれ以上部下の後に隠れようとせず、前大統領として責任ある姿勢を見せるよう望む。