「日本駆け込み寺」元事務局長が逮捕…東京都が補助金2355万円の返還要求「過去にさかのぼる根拠が曖昧」舛添要一元都知事が見解

東京都が公益社団法人「日本駆け込み寺」に助成金の返還を要求した。新宿・歌舞伎町で、トー横キッズたちが抱えるDVや多重債務、ストーカーなどの問題に手を差し伸べてきた団体だ。 代表理事の清水葵氏は2025年6月上旬の時点で、「正直ここの駆け込み寺がもっても6月いっぱい。7月には30万円程度しか口座には残らないのが事実。必死に活動資金を募ってはいる」と話していた。 日本駆け込み寺は5月、元事務局長の田中芳秀被告がコカイン所持・使用の容疑で逮捕された。しかも相談者だった20代女性も、元事務局長からコカイン使用を勧められ、使用したとして逮捕された。 逮捕直後、清水氏は「まさか、まさかだ。言葉にならない」とコメント。創設者である玄秀盛元代表は、「それこそ青天の霹靂という言葉で簡単に言ったが、終わったなと。これで駆け込み寺は」と話していた。 団体にはこれまで、東京都と新宿区から、合わせて約3000万円規模の助成金が支払われていた。東京都の担当者は6月の時点で「2024年度分の資金に関しては現在調査中で、2025年度分もこれから審査を進め決定する予定」としていたが、後に補助金交付決定を取り消すと決めた。 東京都は2024年度分で交付済みの約2194万円と、2023年度の取り消し分の約161万円、あわせて約2355万円の返還を求めるという。 東京都は「事業内容に不適正な事実が確認されたため、補助金取り消しを決めた」としている。しかしなぜ、交付済みで、すでに使われている助成金までさかのぼって、返還を求めているのか。 清水代表によると、過去に交付した助成金まで、返還を求める事前の取り決めはないという。7月11日には、「東京都からは、額面の根拠を提示してもらえなかった。こちらが毎日、業務日報を出したり、支援記録などを全て残したりして資料を提出していたが、それでも東京都が根拠的資料も出してくれなかったのは、ちょっと不服だ」と語った。 もし助成金を返還できなければ、どうなるのか。AZ MORE国際法律事務所 大阪事務所の中川みち子弁護士は「ちょっとよくわからない。あまり事例がない」としつつ、助成金の返還債務が返せないと、債権者から差し押さえられる可能性があり、最終的に事業が継続できなくなり、清算や破産手続きをとることもあり得るとの見方を示した。 また“最悪のケース”として、「公益財団法人なので公益認定を取り消される可能性がある」という。2014年には「全日本テコンドー協会」が運営や会計処理の問題で、公益社団法人としての認定を返上。その後、一般社団法人として活動しているが、従来のような活動は困難だという。 中川弁護士は「(公益認定が取り消されると)寄付金に対しての税金優遇がなくなる。寄付を集められなくなり、事業自体を続けていくのも難しくなっていくのではないかという気がする」とした。 日本駆け込み寺について、内閣府は7月31日までに是正措置を書面で提出できなければ、公益認定を取り消す可能性を示唆している。創設者である玄氏は「一銭も払えない。延滞が14%つくらしいが、払える根拠が全くない。家賃滞納すれば一気に(現事務所を)出される。動いてわかったのは『本当に駆け込み寺、辞めちゃうんですか?』『辞めないで』が8割ぐらいだった」と胸の内を明かした。 この件について元東京都知事の舛添要一氏は「5月18日に相談を受けていた女性にもコカインを勧めたという、これは組織としてやったことに個々で解釈されている。この元事務局長は、自分の趣味でやっているならそこで止まっているが、相談を受けていた女性にも勧めたことがものすごく重く見られているのだと思う。こういうことがあると、そこに助成金を出していると東京都が叩かれる。東京都の役人も保身と言ったら悪いが、世間から叩かれるのが一番嫌だから、止めることで叩かれないけど、続けていたらあんな不祥事があるのになぜ続けたということがあるのでそういう判断だろう」と語った。 「ただ、過去に遡ってというのは、根拠が非常に曖昧。逮捕されたのは5月。2023年度もそういうことをやっていたのかどうなのか。その頃からやっていたのなら、それは同じことが言えるが。もう少し情報は公開すべきだと思う。これでは判断できない」との見解を示した。 (『ABEMA的ニュースショー』より)

シェアする

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

フォローする