【ソウル=桜井紀雄】韓国の尹錫悦(ユン・ソンニョル)前大統領の妻、金建希(キム・ゴンヒ)氏(52)の不正疑惑を捜査する特別検察官の捜査チームは13日未明までに、金氏を逮捕した。斡旋(あっせん)収賄や資本市場法違反などの容疑での逮捕状請求に対し、ソウル中央地裁が証拠隠滅の恐れがあるとして12日深夜に発付を認めた。 大統領経験者の妻が逮捕されるのは初めて。昨年12月の「非常戒厳」宣布を受け、内乱首謀罪などで公判中の尹氏はソウル拘置所に勾留されており、大統領経験者の夫妻が同時に身柄拘束される初の事態ともなった。 疑惑が繰り返し指摘されてきた金氏の逮捕で尹氏夫妻の疑惑を巡る捜査は新たな局面を迎えた。 地裁は12日、逮捕状を発付するかどうかを判断する審査を開き、金氏本人が出廷。金氏は逮捕後、尹氏とは別のソウル南部拘置所に勾留された。 金氏はいずれの容疑も全面的に否認している。 金氏は、呪術師を通じて世界平和統一家庭連合(旧統一教会)の元幹部から不正に高級バッグを受け取った疑いが持たれている。輸入車販売会社の株価操作に関与した疑いや、国政選挙で当時の与党の公認候補選出に不正介入した疑いもある。 検察は株価操作などの事件で金氏を不起訴としたが、李在明(イ・ジェミョン)政権が今年6月に発足後、政府から独立した特別捜査官が尹夫妻の疑惑を捜査するための法案が国会で可決され、捜査が本格化した。