豪1部で賭博不正行為関与の檀崎竜孔、法廷で起訴内容を認める…背景にはクラブの財政難、給与未払いも

オーストラリアメディア『ヘラルドサン』は13日、スポーツ賭博に関与したとした起訴されていた檀崎竜孔被告について、オーストラリアのメルボルン治安判事裁判所で起訴内容を認めたと伝えた。 檀崎被告は今年7月までオーストラリア・Aリーグ(1部)のウエスタン・ユナイテッドに所属していたが、クラブは今年6月、所属選手が賭博関連の罪で起訴されたことをクラブ公式サイトで発表。当時、クラブは実名を明かさなかったものの、『ヘラルドサン』や同メディア『9News』によって、檀崎被告と友人の平山勇太被告が、今年4月および5月に行われた4試合における賭博不正行為に関連する罪に問われていると報じた。 今回、裁判の様子が報じられた。両被告はブリスベンの異なるチームでサッカーをしていた時に友人となり、檀崎被告がウェスタン・ユナイテッド、平山被告がアマチュアクラブのベイサイド・アルゴノーツでプレーしていた際に、対象となる賭博が行われた模様だ。 檀崎被告がウエスタン・ユナイテッドの選手としてプレーしていた今年4月から5月にかけて行われた4試合において、故意にイエローカードを受けたという。その際、平山被告が「檀崎選手がイエローカードを受ける」という項目に賭けており、賭博市場を不正に操作した。両被告は賭博を通して約1万6000オーストラリアドル(約150万円)の利益を不正に得ていたようだ。5月21日、ビクトリア州警察のスポーツ・インテグリティ・インテリジェンス・ユニットが捜査を開始し、両被告は5月30日に逮捕。その際、犯行を全面的に認めていたという。 7月13日に両被告は出廷しており、檀崎被告は7件の賭博不正行為を認めているようだ。弁護人であるルイス・ウィンター氏は法廷にて、「彼はAリーグの競技の公平性を損なったこと、こうしたギャンブル市場の公正さを損なったことを認めている。自身のスポーツ選手としてのキャリアに、おそらくは深刻な影響を与えるであろうミスを犯したことを認識しており、自分自身と家族の名誉を傷つけたことを認めている」などと語った。 なお、檀崎被告が今年7月まで所属していたウエスタン・ユナイテッドは財政難に陥っており、選手への給与も期日通りに支払われていなかった模様だ。同クラブはオーストラリアサッカー協会(FFA)が定めたAリーグ所属の基準を満たせず、今月8日には既にライセンスを剥奪された状態。同クラブは既に異議申し立てをしているが、クラブ消滅を避けるためには、今月16日までに控訴しなければならない。一方で、FFAが実行可能と判断できるクラブ所有権の提案は未だ届いていないと伝えられた。 このようなクラブ状況に加え、檀崎被告には、既に日本へ帰国した妻と、昨年に誕生した幼い娘がおり、ウィンター氏は「経済的かつ個人的なストレスを受けていた」と説明した。 平山被告の弁護人を務めたモリー・デイトン氏も、非常に早い段階で有罪を認めたことを明かしている。平山被告はビクトリア州のアマチュアクラブで1試合あたり約700オーストラリアドル(約67000円)を稼ぎ、加えて生計を立てるため、食品配達のドライバーとして働いていたという。今年3月にはハムストリングの負傷で2カ月ほどプレーができず、経済面で困難な状況に陥り、賭博不正行為に関与した。デイトン氏は法廷にて、「彼は非常に誤った決断をしたことを理解している」と述べた。 両被告については、懲役などの実刑を科される可能性は低く、罰金等が科される見込みだという。判決は今月22日に言い渡される予定だ。 現在25歳の檀崎被告は、青森山田高校の出身で、2度の全国高校サッカー選手権大会優勝に貢献した。2019年から北海道コンサドーレ札幌に入団し、2020-21シーズンはブリズベン・ロアー(オーストラリア)に期限付き移籍。ジェフユナイテッド千葉への期限付き移籍を経て、一度は札幌へ復帰し、2022年夏にブリズベン・ロアーへ2度目の期限付き移籍を決断。その後はマザーウェル(スコットランド)でプレーし、2023年7月からウェスタン・ユナイテッドに所属していた。

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