プエブロ、コロラド州、8月22日 (AP) ― コロラド州当局は8月21日、郡検視官経営の葬儀社の隠し扉の奥に約20体の腐敗した遺体を発見したと発表した。同検視官は、火葬を希望した遺族に実際の遺灰ではなく偽物を渡した可能性があると説明しているという。 デンバーの南約177キロのプエブロにある「デービス葬儀社」を立ち入り検査した際、隠し扉の裏にある部屋で、段ボールで隠されている腐敗遺体が発見された。 検査官らは20日、葬儀社に到着した際に「強い腐敗臭」がしたと証言している。 州規制当局の報告書では、総葬儀社の経営者で郡検視官でもあるブライアン・コッターは、検査官らに隠し部屋に入らないよう頼んでいたという。 コロラド州は長年、全米でも葬儀場の管理監督がゆるいことで知られており、定期的な検査や経営者の資格要件がなく、高校卒業の資格も必要ではなかった。 そのため葬儀場の運営は杜撰で、プエブロから48キロ離れたペンローズでは、室温で保管されている状態で200体近い腐乱死体が発見された事件などは、現在裁判中だ。 デービス葬儀社の立ち入り検査は、コロラド州葬儀業界における過去の犯罪を受け、昨年採択された規則に基づいて、初めて実施された際に腐敗遺体が発見された。 それまでは、遺族からの苦情がない限り葬儀場の検査はなく、デービス葬儀社に対する苦情もなかった。 捜査当局は21日、危険物対応訓練を受けた州警察官の協力を得て証拠を集めた。 コッターは逮捕されておらず、プエブロ郡地方検事は、捜査が継続中であるめ、告訴はされていないと述べた。 コタ―は1989年、兄弟で同葬儀社を買い取り、コロラド州やカンザス州、ネブラスカ州で葬儀社を経営していた父親から学んだ"昔ながらの"方法で運営していたという。 米国の多くの州では、葬儀場に対する定期的な検査が義務付けられているが、コロラド州では長年そのような規則が存在しなかった。 同州グランドジャンクションの葬儀場経営者は2022年、遺体を違法に売却し、遺族に偽の遺灰を渡した罪で有罪判決を受けている。 さらに昨年、デンバー郊外の葬儀場が女性の遺体を霊柩車に1年以上放置していたほか、その葬儀業者の自宅から少なくとも30体分の遺灰が発見される事件も発覚した。 こうした一連の不祥事を受け、コロラド州議会は昨年、葬儀業界への監督を強化する法改正を可決。他州と同様の規制を導入した。 改正内容には、州当局による葬儀場の定期検査や、監督権限の強化が盛り込まれている。さらに、葬儀業者や業界従事者に対して新たに免許制度を導入することも決まった。 (日本語翻訳・編集 アフロ)