カンボジア北西部・ポイペトの拠点で特殊詐欺の「かけ子」をしたとして、日本人の男女29人が詐欺未遂容疑で逮捕された事件で、パスポートが見つかっていない人が7人いることが捜査関係者への取材でわかった。現地滞在期間にも幅があるとみられることが判明。愛知県警などの合同捜査本部が渡航経緯を調べている。 捜査関係者によると、5月27日に現地の捜査当局による拠点の捜索があり、29人は拘束された。県警が渡航記録を調べたところ、日本の出国時期は、その数週間前から1年以上前と幅があり、複数の拠点を転々としていたとみられる容疑者もいた。7人はパスポートが見つかっておらず、県警は現地で何者かに取りあげられた可能性もあるとみている。逮捕時の所持金は多い人でも2700円程度だったという。 県警は22日、29人を詐欺未遂容疑で送検。拠点から押収した証拠品を報道陣に公開した。多数のスマートフォンや、「長野県警察本部」と書かれた看板、「警視庁」と書かれた偽物の制服、偽物の逮捕状などがあった。看板などはビデオ通話で見せて相手をだます小道具として使っていたとみられる。 捜査本部によると、29人は仲間と共謀し、5月27日、ポイペトの拠点で警察官などをかたって東京都の男性にうその電話をかけ、現金をだましとろうとした疑いがある。(高橋俊成)