神戸市中央区のマンションで住人の会社員、片山恵さん(24)が刺殺された事件で、殺人容疑で逮捕された谷本将志容疑者(35)=東京都新宿区高田馬場=は2日間の逃亡の末、事件現場からおよそ400キロ離れた東京都奥多摩町で身柄を確保された。逮捕劇を目撃した住民は、「なぜここまで」と驚いた様子で話した。 県警によると、容疑者は事件直後、新神戸駅から東京方面の新幹線に乗車。22日、奥多摩町のJR奥多摩駅で降車したことが確認され、町内の路上を歩いているところを警視庁に確保された。 奥多摩駅から東へ、徒歩で約1時間半ほど離れた道路沿いに住む80代男性は、植木の剪定中に谷本容疑者とみられる男が東方向に歩いていく様子を目撃。その後、後ろから近づいてきた警察車両が停車し、中から出てきた警察官が男を取り押さえたという。 男性は「なんだろうと思った」と当時の衝撃を語った。男性の80代の妻は、「朝のニュースをみて、逮捕されたのが奥多摩だと知った。まさかうちのすぐ近くだと思わなかった。なんでここまで歩いてきたんだろうと思う」と話した。 谷本容疑者が降車したとされる奥多摩駅は山々に囲まれ、周辺にはキャンプ場や宿泊施設などが点在。逮捕から一夜明けた23日は、外国人観光客や若者らのグループでにぎわっていた。 近くの売店の男性は、「事件後、店に警察官が尋ねてきた」と明かした上で、「(谷本容疑者に似た人物は)見かけなかった。観光客も多く、分からないと思う」と話した。