米国ジョージア州の現代自動車グループとLGエナジーソリューションの合弁によるバッテリー工場の建設現場で4日(現地時間)に繰り広げられた大規模な移民取り締まり作戦で、300人あまりの韓国人が逮捕・拘禁された。韓米両政府は交渉で自主出国のかたちで彼らを帰国させることで合意し、同作戦から3日で釈放への道が開かれた。 政府は早ければ今週にもチャーター機で彼らを帰国させる計画だ。しかし、米国が巨額の投資を迫ってきている中で大規模な拘禁事件まで起きたことで、韓米両国が約束した「経済同盟」の未来にも暗雲が垂れ込めている。 カン・フンシク大統領秘書室長は7日の高位の党政大(与党、政府、大統領室)協議会で、「多くの国民のみなさまが心配されているが、政府省庁、経済団体、企業が一丸となって迅速に対応した結果、拘禁された労働者の釈放交渉がまとまった」と語った。カン秘書室長は「ただし、行政手続きが残っている」として、「手続きが終わり次第、チャーター機が韓国国民をお迎えしに出発する」と語った。 7日のハンギョレの取材結果を総合すると、政府は米国移民・関税執行局(ICE)によって拘禁された300人あまりの韓国人について、自主出国のかたちで帰国させることで米政府との交渉をまとめた。強制追放とは異なり、自主出国は本人が自ら米国を去ることに同意して出国するものであるため、追放記録が残らない。そして不法滞在期間が180日未満の場合、特に入国禁止期間がないため、後に米国に入国する際に制裁を受けない。拘禁されていた韓国人と企業に被害が及ばないことを重視して、韓国政府が高官級の外交交渉をおこなってきたことによるものだ。 政府は、ぎりぎりのところで変数が生じない限り、早ければ今週にもチャーター機で拘禁された韓国人を帰国させられるとみている。政府は、チャーター機を飛ばす日程を含めて内部的に準備を終えたという。 今回の韓国人大量拘禁事件は、韓国側の労働者が正式な就業ビザ(H-1B)を取らず、非移民ビザである短期商用ビザ(B-1)やビザなしの電子旅行許可(ESTA)で働いていたことを米国の移民当局が問題視したことで発生したという。移民と不法滞在者が自国民の雇用を奪っていると主張する第2次トランプ政権の発足直後、就業ビザ発行の門戸が狭まったことを受け、韓国企業が選んだ便法的な苦肉の策が問題視されたということだ。実際に、トランプ大統領は5日のブリーフィングで、「私の考えでは、彼らは不法滞在者であり、ICEはやるべきことをやった」とも述べている。 政府は今後、類似の事態が再発することのないよう、制度改善も推進するとの立場だ。カン秘書室長は「今後、類似の事例の再発防止のために、産業通商資源部および関連企業などの協力の下で、対米プロジェクトに関して出張者の在留地位とビザ体系を点検し、改善策を推進する」と述べた。 ソ・ヨンジ、オム・ジウォン、キム・チェウン記者 (お問い合わせ [email protected] )