エルサレム北郊のバス停で銃撃、イスラエル人6人死亡 パレスチナ人容疑者は射殺

エルサレム北郊で8日、武装したパレスチナ人2人が銃を発砲し、イスラエル人6人が死亡、8人が負傷した。エルサレム周辺での銃撃事件としては、近年で最悪の死傷者数となった。 イスラエル警察によると、エルサレム北郊のラモト交差点に「テロリスト2人が車で到着」し、バス停に向けて発砲した。現場に居合わせた非番の兵士1人と、民間人1人が応戦し、襲撃犯を「無力化した」という。 イスラエル・メディアは死亡した6人について、25歳から79歳の男性5人と60歳の女性1人と報じている。地元の病院によると、負傷者のうち2人は重体だという。 これまでのところ、犯行声明は出ていないが、イスラム組織ハマスはこの襲撃を称賛している。 現場を訪れたイスラエルのベンヤミン・ネタニヤフ首相は記者団に対し、イスラエルgが「複数の前線でテロとの激しい戦い」を続けていると述べた。 そして、イスラエルの治安部隊は今年に入り、パレスチナ・ヨルダン川西岸地区で数百件の攻撃を阻止してきたものの「残念ながら、今朝は阻止できなかった」のだと話した。 「我々は現在、追跡中で、殺人犯がやってきたとみられる複数の村を封鎖している。彼らを支援し、送り出した人物を捕まえ、さらに強力な措置を講じるつもりだ」とも、首相は述べた。 イスラエル軍は、ヨルダン川西岸地区ラマラ郊外にあるパレスチナ人が暮らす複数の村を兵士が包囲し、「テロを阻止し、防衛体制を強化」していると発表した。 銃撃事件は朝のラッシュアワーが終わるころ、ラモト交差点で発生した。 イスラエル警察のディーン・エルスダン報道官は、「テロリストは車で現場に到着し(中略)混雑したバス停で、1日を始めようとしていた多数の民間人に向けて意図的に発砲した」と説明。 「現場に居合わせた、大勢の武装した民間人が即座に対応した。彼らは銃で反撃し、テロリスト2人をその場で射殺した」とした。 警察はその後、襲撃犯が使用した「複数の武器や弾薬、ナイフ」を押収したと、エルスダン氏は付け加えた。襲撃犯は、ラモト交差点の西約10キロメートルに位置するヨルダン川西岸地区のアル・クベイバ村とカタンナ村の出身とされる。 襲撃犯を車でエルサレムまで届けたとして、イスラエル占領下の東エルサレムに住む人物が逮捕されたと、イスラエル・メディアは報じている。 イスラエル外務省が公開した車載カメラ映像には、銃声が響く中、数十人の男女や子どもがバス停や停車中のバスから逃げる様子が映っていた。 後方のバスのフロントガラスは粉々になり、その後、武装しているとみられる民間人が現場に近づく様子も確認できる。 銃撃で負傷したエステル・ルガシ氏は、イスラエルのテレビによる取材に病院から応じ、「突然銃声が聞こえた。(中略)果てしなく走っているように思った」、「自分は死ぬんだと思った」と話した。 救急医療サービス「ユナイテッド・ハツァラ」のダニエル・カッツェンスタイン氏は、襲撃から間もなく現場に駆け付け、バスの運転手1人の治療にあたったという。 「(運転手は)モハマドという名前だった」と、カッツェンスタイン氏はBBCに語った。「彼も助けようと現場に駆け付けていた。これはイスラム教とユダヤ教の戦いではなく、危害を加えようとする人々と、生きたいと願う人々との戦いだ」 イスラエル・メディアによると、死亡した男性5人は、ヤアコフ・ピント氏(25)、イスラエル・メツナー氏(28)、ラビ(ユダヤ教指導者)のヨセフ・ダヴィド氏(43)、レヴィ・イツハク・パシュ氏(57)、モルデハイ・"マルク"・スタインツァグ氏(79)。 死亡した女性は、サラ・メンデルソン氏(60)。 イスラエルのアイザック・ヘルツォーク大統領はソーシャルメディアに声明を投稿し、「罪のない民間人、子ども、大人が、邪悪なテロリストの手によって、街中のバス停で冷酷に殺害され、負傷させられた」と述べた。 「この衝撃的な攻撃は、我々が絶対的な悪と戦っていることを改めて思い起こさせるものだ」とヘルツォーク氏は付け加えた。「世界は我々が何に直面しているかを理解すべきだ」。 フランスのエマニュエル・マクロン大統領は、「このテロ攻撃を強く非難する」と表明。イギリスのイヴェット・クーパー外相は、「このテロ攻撃に恐怖を感じた」と述べた。 アメリカのマイク・ハッカビー駐イスラエル大使も、とんでもない事態だとして、「我々はイスラエルと共に、この残虐行為に立ち向かう」と述べた。 パレスチナ自治政府のマフムード・アッバス議長は、「パレスチナ人およびイスラエルの民間人を標的とするいかなる行為も拒絶・非難し、その出所に関わらず、あらゆる形態の暴力行為とテロリズムを非難するという、我々の確固たる立場を改めて表明する」と述べたと、パレスチナのワファ通信は伝えた。 一方、ハマスは今回の攻撃を「2人のパレスチナ抵抗戦士による、英雄的かつ並外れた作戦」と称賛した。 ハマスは攻撃への関与を認めていないが、「占領者(イスラエル)の犯罪と我々の民に対するジェノサイド(集団虐殺)への当然の結果」だと主張した。 ハマスが2023年10月7日にイスラエル南部を奇襲したことを機に、イスラエル軍は2年近くガザへの攻撃を続けている。 また、イスラエル治安部隊は、イスラエル国内とヨルダン川西岸地区での警戒態勢を強化してきた。ただ、エルサレム周辺ではこの種の攻撃は比較的少なかった。 2023年11月には、西エルサレムのバス停で武装したパレスチナ人が銃を発砲し、イスラエル人4人が殺害された。この攻撃については、ハマスが犯行声明を出した。 今回の銃撃事件は、イスラエル軍がガザ市への攻撃を強化する中で発生した。イスラエルとハマスは現在、アメリカが提示したガザ停戦と人質解放に関する新たな案を検討しているとされる。 (英語記事 Six Israelis killed by Palestinian gunmen at Jerusalem bus stop)

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