ニュージーランドで、3人の実の子供を連れたまま行方が分からなくなり、親権を巡る裁判に出廷しなかったことから2022年に指名手配された男が、8日、強盗事件を起こした末に警察との銃撃戦で射殺された。子供たちは無事に保護され、約4年間にわたる父子の逃避行は幕を下ろした。 トム・フィリップス容疑者は2021年末、3人の子供たちとともに失踪。現在9歳、10歳、12歳に成長した子供たちと何年にもわたって逮捕の手を逃れ続けたこの事件は、同国で大きな話題となっていた。 8日午前2時30分頃、ワイカト地方の小さな町にある店舗で強盗が発生したとの通報が警察に入った。警察は容疑者が逃走経路に使うと予想される道に、タイヤをパンクさせるスパイクを仕掛けた。そこへフィリップス容疑者が運転する四輪バイクがやってきた。 その後の経緯について警察は会見で次のように述べた。「最初に現場に到着した警察官は、停止した四輪バイクに接近した際、至近距離から発砲を受けた。警察官は頭部に被弾し、地面に倒れた。その直後に到着した応援の部隊が被疑者と交戦し、被疑者は現場で死亡した。(中略)死亡した男の正式な身元確認はまだ行われていないが、トム・フィリップス容疑者であるとみられる。現場ではもう1人の人物が発見され、また複数の銃器が四輪バイクから押収された。負傷した警察官は救助ヘリで病院に搬送され、現在手術中だ」 警察によれば、容疑者の子供たちは全員無事に保護された。 フィリップス容疑者は2022年、親権を巡る裁判に出廷しなかったため指名手配された。ニュージーランド北島中央部の森や、人里離れた農地に身を潜めることで当局の追跡を逃れていたとされる。 子供たちの母親は、地元ラジオに対し事件の結末について複雑な心境だと述べた。そのうえで「この4年間、1日も欠かさず子供たちに会いたいと思っていた。彼らを家に迎え、愛情と癒しを与えられることを心待ちにしている」とコメントした。