イチロー氏自宅に強盗 弓子夫人が催涙スプレー噴霧されながらも寝室の侵入防ぐ 悪質手口も判明

アジア人初の米野球殿堂入りを果たしたイチロー氏(51=マリナーズ球団会長付特別補佐兼インストラクター)の自宅に今年2月、強盗が入っていたことが明らかになった。AP通信などが15日(日本時間16日)、伝えた。米シアトルにある自宅に弓子夫人(59)が在宅中。催涙スプレーを噴霧されながら、寝室への侵入を必死に防いだという。米国では今年、各地でプロスポーツ選手の強盗、空き巣被害が多発している。 ◇ ◇ ◇ 弓子夫人が極めて危険な目に遭っていた。検察によると、今年2月9日、パトリック・メゾネット容疑者(29)が、シアトルにあるイチロー氏の自宅に侵入。弓子さんが寝室にいたところ、ドアを無理やりこじ開けようとした。弓子さんはドアを押さえて抵抗したが、メゾネット容疑者は隙間から腕を伸ばして催涙スプレーを浴びせた。どうにか扉に鍵を掛け、部屋への侵入を防いだという。 通報を防ぐための、悪質な手口も判明した。警察によると同容疑者は、日本の110番に相当する緊急通報番号911などへの携帯電話からの通話を妨害するため、犯行時にデジタル周波数妨害機器を携行していたという。 米国では著名なプロスポーツ選手の自宅を狙った空き巣、強盗が相次いでいる。遠征がある上、自宅に高級品があるとみられて標的にされている。同容疑者も別件の強盗容疑で、8月21日に自宅で逮捕された。200万ドル(約2億9000万円)の保釈金が設定されているが被疑者、被告の拘禁は勾留中。イチロー氏宅の件では、15日に無罪を主張した。 かつて米国内では比較的に治安が安定していると言われてきたシアトルだが、マリナーズのルイス・カスティーヨ投手は2度も自宅を襲撃された。同地出身でドジャースのブレーク・スネル投手は、3月に自宅で空き巣に入られ、7万5000ドル(約1090万円)相当のロレックスの腕時計を盗まれている。ヒップホップ歌手マックルモアは6月、NFLシーホークスとMLSサウンダーズの優勝リングを盗まれ、後にシアトル南部の宝石店で発見された。 裁判所の記録によると、携帯電話の位置情報により、メゾネット容疑者が、自宅や祖母宅から強盗被害者宅に移動したことが確認されている。また、シアトルの宝石店との関連も示されている。 連邦捜査局(FBI)は、プロアスリートを狙う犯罪組織について、各スポーツリーグに警告を発している。ドジャースの山本由伸投手が7月にロサンゼルスで、ダイヤモンドバックスのケテル・マルテ内野手はオールスター期間中にフェニックスの自宅で空き巣に入られた。NFLではチーフスのパトリック・マホームズ、トラビス・ケルシーらも被害に遭っている。 ◆球界の強盗侵入 01年6月、元巨人の金石昭人さんが、婚約者のスポーツキャスター陣内貴美子さん宅に侵入した強盗を2人で協力して羽交い締めにし、警察に引き渡した。20年7月には近鉄などでプレーした大西宏明さんがオーナーを務める大阪の焼き肉店に男が押し入り、現金約50万円を奪って逃走した(その後逮捕)。23年2月にはDeNA斎藤隆コーチの家族から「黒い服の人が家に入ってきた」と110番があった。家族の就寝中に複数人が押し入ったとみられ、室内が荒らされた。同年6月、強盗未遂と住居侵入の疑いで容疑者が逮捕された。

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