映画「明日に向って撃て!」「スティング」に主演した往年のスターで、アカデミー賞受賞監督でもある米俳優のロバート・レッドフォードさんが16日、米西部ユタ州の自宅で死去した。89歳だった。就寝中だったといい、死因は不明。ニューヨーク・タイムズ紙が伝えた。 レッドフォードさんは1936年、カリフォルニア州サンタモニカ生まれ。コロラド大学を中退し、画家を志してヨーロッパを放浪した。帰国後、舞台美術を学んだが、俳優に転向。50年代後半にブロードウェーの舞台にデビューした。 長い下積みを経て、映画界では69年、実在のギャング2人組の友情と恋、逃走劇を描いた「明日に向って撃て!」でポール・ニューマンさん(享年83)と共演し、出世作となった。 その後も「スティング」や「追憶」「愛と哀しみの果て」などに出演。甘いマスクでアウトローを演じ、そのギャップでファンを魅了し、世界的スターとなった。 監督としても、デビュー作の「普通の人々」(80年)でアカデミー賞の作品賞に輝き、監督賞も受賞。監督としても高い評価を受け、演技と製作の双方で成功を収めた。 映画人育成にも注力し、ユタ州に「サンダンス・インスティテュート」を創設。サンダンス映画祭を主宰するなど、優れた作品を送り出した。2002年には「映画人の養成所を設立し、若手の育成に励み映画界に貢献した」として、アカデミー名誉賞が授与された。 私生活では58年にローラ夫人と結婚し、4人の子供をもうけたが、85年に離婚した。09年にドイツ出身の画家ジビレ・ザガースさんと再婚した。 18年に、人を傷つけたことがないまま逮捕と脱獄を繰り返した銀行強盗役を演じた主演映画「さらば愛しきアウトロー」への出演を最後に、俳優業からの引退を発表。環境保護活動にも熱心だった。 ◆ロバート・レッドフォード 1936年8月18日、米カリフォルニア州サンタモニカ生まれ。62年に映画界進出。63年、舞台「裸足で散歩」で注目を集めた。73年映画「スティング」がアカデミー賞候補に。他の出演作に「華麗なるギャツビー」「大統領の陰謀」など。80年の「普通の人々」は監督賞、作品賞など4部門に輝いた。