【ソウル=桜井紀雄】韓国の尹錫悦(ユン・ソンニョル)前大統領の妻、金建希(キム・ゴンヒ)氏を巡る不正疑惑を捜査する特別検察官チームは23日未明、教団に便宜を図ってもらう目的で尹前政権側に金品を提供したとして、政治資金法違反などの疑いで、世界平和統一家庭連合(旧統一教会)トップの韓鶴子(ハン・ハクチャ)総裁(82)を逮捕した。 ソウル中央地裁が22日、特別検察官が請求した逮捕状の発付の可否を判断する審査を行った結果、「証拠隠滅の恐れがある」などとして発付を認めた。特別検察官は、教団と尹前政権など政界との癒着疑惑の全容解明を目指す。 教団を巡っては、日本で高額献金が社会問題化したほか、2022年7月の安倍晋三元首相暗殺事件をきっかけに自民党との不明朗な関係が注目を集めた。 22日に地裁の審査に出廷した韓氏は「韓国の政治に関心はなく、政治について知らない」と主張。おおむね容疑を否認したという。「国中を騒がせて恐縮している」とも述べたという。 韓氏は、教団の元幹部と共謀し、2022年1月に尹氏の最側近で保守系最大野党「国民の力」重鎮の権性東(クォン・ソンドン)国会議員=政治資金法違反容疑で逮捕=に政治資金1億㌆(約1060万円)を不正に供与。同年4~7月には、あっせん収賄罪などで起訴された金氏に高級ブランド品を贈り、教団の事業で便宜を図るよう求めた疑いが持たれている。 韓氏と教団側は、逮捕された元幹部による個人的な逸脱行為であり、教団の介入はなかったと主張している。 韓氏は心臓手術を受けたことを理由に3回にわたって出頭要請を拒んだ末、17日に出頭して取り調べを受けた。