インターネットに映画のネタバレ記事を無断掲載したとして、東京地裁が7月、東京都内に住む男性(46)に著作権法違反で罰金50万円の有罪判決を言い渡した。一般社団法人コンテンツ海外流通促進機構(CODA)によると、広告収入を目的とした悪質なネタバレサイトが散見されるという。違法動画への警戒が高まり、動画から記事へと形態が変化しているようだ。 判決や男性の公判供述によると、2023年11月、映画館で人気作品を鑑賞。俳優のセリフや描写を記憶し、自宅に戻ってパンフレットやその他の公開情報とつなぎ合わせてネタバレ記事を作成。サイトに掲載した。 このサイトは映画や漫画、アニメの内容を紹介する記事が多く掲載されていた。男性は公判でサイト運営会社から報酬を得ていたことを認めた。この会社の代表も著作権法違反に問われ、公判が続いている。警察・検察は、セリフの一部までも同じなど原作に酷似している点を悪質と判断したとみられる。 著作権法違反が問われたケースとしては、映画を無断で短く編集した「ファスト映画」の先例がある。「タイパ」を重視し、映画を通しで見ることを避ける若者を中心に需要があった。 しかし、ファスト映画を著作権者に無断で、動画投稿サイト「ユーチューブ」に投稿したとして、男女3人が21年、著作権法違反容疑で宮城県警に逮捕された。3人はいずれも執行猶予付きの有罪判決となった。 東宝や松竹、東映などの大手映画会社や配給会社など13社は民事でも3人の責任を追及。東京地裁は22年と23年の2回に分けて、3人に計5億円の賠償を命じた。「おくりびと」や「シン・ゴジラ」など54本のファスト映画を無断投稿し、約700万円の広告収入を得ていたと認定した。 刑事、民事の両面で責任追及され、動画の無断配信が著作権侵害に当たる危険性は広く認識された。定量的な統計はないものの、CODAは「ファスト映画や海賊版といった違法動画は減ったと感じる」と評価する。 一方、反比例するように悪質なネタバレ記事を掲載するサイトが増加している可能性があるという。 担当者は「ネタバレすれば、お金を支払って作品を見ようという意欲は低下する。それは動画でも記事でも変わらない。悪質性は同じです」と注意を促す。【安達恒太郎】