裁判員裁判、責任能力が争点に 北九州中学生殺傷容疑者を起訴

北九州市小倉南区のファストフード店で中学3年の男女2人が殺傷された事件で、福岡地検小倉支部は26日、殺人容疑などで逮捕されていた小倉南区の無職、平原(ひらばる)政徳容疑者(44)を殺人、殺人未遂の罪と銃刀法違反で福岡地裁小倉支部に起訴した。 地検小倉支部は殺人罪などで平原被告を起訴したが、関係者によると2度の鑑定留置では、被告に精神疾患があり事件に一定の影響を与えたと指摘された。地検小倉支部は想定される裁判員裁判の公判で、事件当時の精神状態を「心神耗弱」と主張する模様で、裁判員は刑事責任能力の有無や程度を巡り難しい判断を迫られそうだ。 刑事責任能力の有無は、事件当時の被告に善悪を識別し、行動を制御する能力がどの程度あったのかで判断される。精神疾患を有する場合に問題になることが多い。刑法39条では、能力が完全に失われていた場合は「心神喪失」として罪に問わず、一部のみ失われていた状態は「心神耗弱」と判断され、刑を軽減すると定めている。 捜査関係者によると、平原被告は2度の鑑定留置で、当時は妄想を伴う精神疾患があったと診断された。だが、事件前に精神疾患に関する通院・服薬歴は確認されず、被告自身が「病気」と認識できないまま、病状が悪化したとみられる。 ある程度重かった妄想などの症状が事件発生に影響を与えたものの、事件後に警察の捜査を警戒するような行動をしていたことも踏まえ、心神耗弱と判断した模様だ。 ある捜査幹部は「起訴できると判断しても裁判で心神喪失とされて無罪となるケースはある。弁護側の要請で新たに『公判前鑑定』が実施された結果、刑事責任能力の判断が割れる可能性もある。どのような結論になるかは公判次第だ」と話した。【川畑岳志】

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