〈増加する子供のメンタルヘルス〉誰に相談すればいいのか…高い日本でのハードル、重要な家庭医の役割

病気や症状、生活環境がそれぞれ異なる患者の相談に対し、患者の心身や生活すべてを診る家庭医がどのように診察して、健康を改善させていくか。患者とのやり取りを通じてその日常を伝える。 <本日の患者> W.Y.くん、16歳、男性、図書室手伝い。 R.Y.さん、43歳、女性、W.Y.くんの母親、大学院生。 K.Y.さん、45歳、男性、W.Y.くんの父親、市役所職員。 「先生、『おとなは、だれも、はじめは子どもだった』って知ってる?」W.Y.くんが私に尋ねた。 「あ、サン=テグジュペリの『星の王子さま』だね」 「そう。でも『そのことを忘れずにいるおとなは、いくらもいない』んだって」 「僕も、W.Y.に言われるまで、そのことをずっと忘れていたよ」と父親のK.Y.さん。ちょっと照れている。 「私は、W.Y.のように、子どもからおとなになる時代にいることがうらやましいわ」と母親のR.Y.さん。何かを思い出しているようだ。 W.Y.くん一家との年に4回の診療は、いつもだいたいこんな感じで、自由な話題で思ったことを自由に語ってもらう。気に入った本、感動したドラマや映画、季節の移ろい、美味しかった食べ物、気になる社会の出来事、そして病気についての話題が多い。何かの結論を出すことがゴールではなく、親と子という立場は忘れて、お互いの発言に耳を傾け、自分の頭に浮かんだことを率直に語ってもらう。

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