きっかけはインスタに上げた1枚の写真…50代女性から1億7000万円超をだまし取った“詐欺師の巧妙シナリオ”

自分は騙されないと思っている人でも騙されるのはなぜか。犯罪ジャーナリストの多田文明さんは「相手が自己開示してくると、『返報性の法則』がはたらきやすくなり、親近感を持ってしまいやすいから要注意だ。株式投資をやっていて利益を出していたある50代女性は、SNSのたわいもないメッセージから詐欺師を信頼して資産情報や個人情報を話し、1億7000万円を超える金額を騙し取られた」という――。 ※本稿は、多田文明『人の心を操る 悪の心理テクニック』(イースト・プレス)の一部を再編集したものです。 ■詐欺師が「警察官をかたり、現金をだまし取る」手法 ———- 不安をあおり自ら情報を開示させる×直接聞きたい情報を聞き出す ○相手の不安をあおり、解決策に協力させる形で聞き出す ———- 詐欺師の手口には、相手の不安につけ込み情報を自ら開示させる事例があります。 警察官をかたり、現金をだまし取る事例では、偽の警察官が電話で「詐欺グループが摘発された際に、あなたのキャッシュカードが出てきたため、詐欺の容疑がかかっている」と伝え、LINEなどのメッセージアプリに誘導します。そこでビデオ通話をさせながら、警察官の姿や警察手帳を見せ、本当に犯罪に巻き込まれていると信じさせるのです。 ここでは、警察手帳などのようなものを実際に見せるという視覚に訴えるテクニックが使われています。警察手帳などは偽物ですが、実物を見たことがある人が少ないため、細部の違いなどには気づけず信じてしまう人が多いのです。 そして、なにより見逃せないのは、そこで使われている話の流れです。無実の犯罪に巻き込まれたと思う人は「私はやっていません」「身に覚えがありません」と必死に自らの潔白を証明しようとする心理が働きます。実はそこが詐欺グループの狙いなのです。 そこで、このようなやり取りが行われます。 詐欺師「あなたが犯罪に加担していないことを証明するために、次の指示に従ってもらえますか?」 被害者「はい」 詐欺師「まず、スマホのカメラを360度回してください」 被害者(カメラで周囲を360度撮影する) 詐欺師「次に犯罪グループからの入金がないかを確認するために、すべての通帳を出してカメラで見せてください」 このように、相手の不安な心理を巧みに誘導し、情報を引き出していきます。

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