「被害者、関係者のみなさま、私は法的・倫理的等いかなる観点からも、決して許されない罪を犯しました。魂の殺人ともいわれる、許されざる罪です。本当に申し訳ございませんでした」 公判の中で48歳の小学校教諭は謝罪の言葉を述べ、深々と頭を下げたのだった。 「’25年7月2日、埼玉県警所沢署は小学校教諭の斉藤維人(まさと)被告(48)を建造物侵入の疑いで逮捕しました。斉藤被告は勤務先の小学校の教室に、盗撮目的で侵入した疑いがもたれています。7月1日、女子児童がプールの授業前に着替えていた教室の棚の上から、筆箱に入った斉藤被告のスマートフォンが発見され、盗撮されたとみられる映像が確認されたのです。斉藤被告は『スマホを教室に置き忘れただけ』と容疑を否認していました。 翌3日に、所沢署は小学校と斉藤被告の自宅への家宅捜索でパソコン2台を押収。校内で撮影したとみられる児童の動画が数十点確認されたことから、7月24日、斉藤被告を性的姿態等撮影と児童ポルノ禁止法違反の疑いで再逮捕しました。ここにきて斉藤被告は『盗撮したかった』と容疑を認める供述を始めたということです。 検察は建造物侵入の容疑を不起訴処分にした上で、性的姿態等撮影の罪で起訴しました。そして埼玉県教育委員会は9月11日、斉藤被告を懲戒免職処分にしています」(全国紙社会部記者) ◆巧妙な盗撮手口に表れた被告の“歪な情熱” 9月8日、さいたま地裁川越支部で、斉藤被告の初公判が開かれた。 検察官が読み上げた起訴状や冒頭陳述などから明らかになったのは、とても教育者とは思えない卑劣な犯行だった。 「被告人は’21年4月から、所沢市内の小学校で教諭として勤務していましたが、同小学校で女子生徒の着替えなどを盗撮していました。 被告人は当初、小型カメラで盗撮していましたが、そのうち携帯電話で盗撮するようになったのです。そして盗撮行為が発覚しないように、携帯電話をレンズの位置に穴を空けた筆箱の中に隠匿した上、マジックテープを付けるなどして携帯電話が筆箱の中で動かないようにする加工をしていました。 被告人は7月1日、勤務先の小学校の教室が、プールの授業前の更衣場所となっていることを知りながら、密かに棚の上に設置した筆箱内の携帯電話を使用して、複数の女子生徒の着替えを撮影したのです。 同僚の男性教諭が授業の後、教室内を確認していたところ、棚の上にある筆箱を見つけ、中から携帯電話を発見。保存されていた映像を、校長と被告人とともに確認したことから犯行が発覚しました」 上下黒のスーツに白いシャツ、紺のネクタイで出廷した斉藤被告は公訴事実について「認めます」と答え、冒頭のように謝罪の言葉を述べた。 公判では、被害女児の保護者らの供述調書も読み上げられたが、「厳しい処罰を望みます」と、一様に強い処罰感情を感じさせるものだった。 斉藤被告が盗撮を始めたのは3年ほど前で、自宅からは盗撮用に改造された小型カメラやiPadなどが押収されたという。謝罪のなかで「魂の殺人」という言葉を使っていた斉藤被告だが、その「殺人」のための機器の改良にも余念がなかったのかもしれない。 今後の審理を経て、被害者や被害者の保護者が納得できるような判決が下されるだろうか。 引き続き、審理が行われる予定だ。 ※「FRIDAYデジタル」では、皆様からの情報提供・タレコミをお待ちしています。下記の情報提供フォームまたは公式Xまで情報をお寄せ下さい。 情報提供フォーム:https://friday.kodansha.co.jp/tips 公式X:https://x.com/FRIDAY_twit 取材・文・写真:中平良