偽造ギフトカード全国流通か 日本語の取り扱い店舗名に誤り「外国人が作っているのでは」

「偽物を売りにきた人がいる」。今月4日、東京都新宿区のチケットショップの店員から通報があり、警視庁新宿署が指定暴力団極東会傘下組織組員の男(31)を現行犯逮捕した。男は、偽造されたギフトカード100枚を店で換金しようとしていた。5日にも台東区の金券ショップで偽のギフトカード20枚を持ち込んで換金しようとしたとして、上野署にベトナム人経営者の20代男が現行犯逮捕された。 ■ホログラムも偽造 江戸川区の事件も含め、偽造されたのはいずれも、クレジット大手JCBの額面5千円のギフトカードだ。使用期限がなく、全国で広く利用できることやレジを通す必要がないことで悪用されている可能性がある。 都内の事件は、店員がカード裏面に記載されている「取り扱い店舗」の欄に実在しない店舗名があることなどに気付いて発覚した。偽造品を本物と比較すると、ホログラムや紙の質感にも違いがあるというが「一般人では見分けられない」(捜査関係者)という。買い取り店で商品と引き換えたギフトカードが、その後、古物商の元に渡り偽物と判明するケースも確認されている。 捜査関係者によると、暴力団組員の男は、西東京市のチケットショップでも8月、偽造ギフトカード100枚を売ったとして、偽造有価証券行使などの疑いで再逮捕された。新宿の事件の報道を受け、店側がすべてのギフトカードを確認した結果、偽造品があることが分かったという。捜査関係者は「実際はより多くの被害がある可能性がある」と語る。 ■「そごう」が「そでう」 ギフトカードはどこで偽造され、流通し始めたのか。逮捕された容疑者らは「知人からもらった」などと供述する。捜査関係者は、押収したスマートフォンの分析など流通経路の解明を進めるが、「製造元を特定するのは容易ではない」と打ち明ける。 日本チケット商協同組合によると、JCBギフトカードの偽造品は先月、大阪府内の組合員店舗に大量に持ち込まれたほか、埼玉県の店舗などでも偽造品が確認され、組合内で注意喚起されたという。組合の伊集院浩二理事長は「店舗名の表記で、『そごう』が『そでう』になっているなど日本人では考えられないような間違いがある。外国人が作っているのではないか」と推察する。 JCBは産経新聞の取材に「警察をはじめとする関係機関との協力体制を構築している」とした上で「偽造券を発見した際には、警察への通報とJCBへの連絡をお願いしたい」と呼びかけている。(前島沙紀、市野沢光)

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