英イングランド北部マンチェスターにあるシナゴーグ(ユダヤ教の礼拝所)付近で起きたテロ事件で、地元警察は2日夜、容疑者は35歳のシリア系英国人だと発表した。 事件は2日朝に発生し、ユダヤ教コミュニティーの2人が死亡し、他に4人が負傷した。 警察によると、ジハド・シャミ容疑者は車で市民らをはねた後、運転席から降りて刃物で刺した。爆発装置のようなものを身につけていたが、作動可能ではなかったという。シャミ容疑者は現場で警察官に射殺された。 この日はユダヤ教徒にとって最も重要な祭日「ヨムキプール」(贖罪(しょくざい)の日)で、シャミ容疑者は多くの人が集い、祈る場を狙った可能性がある。事件に関連して他に2人が逮捕されており、警察は事件の詳しい背景を調べている。 内務省によると、ユダヤ教徒が被害者となるヘイトクライム(憎悪犯罪)は2024年3月末までの1年間で3282件に上り、前年度比で2倍以上になった。シナゴーグの警備は各地ですでに厳重化されているが、スターマー首相は事件を受け、さらに多くの警察官を配置するよう指示を出した。 スターマー氏は2日、閣僚らによる緊急会議を実施後にテレビ演説を行った。「反ユダヤ主義の憎悪が日々の脅威になっている」と指摘し、ユダヤ教徒に対する連帯を表明。「みなさんが恐怖とともに生きなければならないことをつらく思う」と述べ、英国を安心できる場所にすると強調した。(ロンドン=藤原学思)